扶桑会への入会について
通常稽古は毎週木曜・日曜(または祝日)の2回行っています。通常稽古は会員限定です。
入会希望者が参加可能な本稽古は 2月12日(日)14時から17時まで開催します。
場所は 世田谷区総合運動場 体育館 第一武道場です。
扶桑会への入会を希望される方は 左のメールフォームよりお問い合わせください。
入会希望者が参加可能な本稽古は 2月12日(日)14時から17時まで開催します。
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其の四百二十 一筆で倒す 大東流合気柔術 扶桑会 
今回は、柔術技法における「一筆書き」ということについて述べてみたい。
私どもが普段稽古しているのは、書道になぞらえれば「楷書」ともいうべき方法である。
すなわち、「止め、はね、はらい」を着実に行って一つの文字を書き上げるように、部分的な動作をしっかりと連続させ、一つの技を形成していく。

楷書に対し、一画一画を流れるように形作っていくのが行書であり、
全体を一筆で書き上げていく草書となるとその流麗さに比して技術的な難易度は格段に上がる。
私も「下手の横好き」で筆をとることがあるが、やはり楷書の域を脱して行書・草書に達するには、余程の習熟を経なければ難しいと実感できる。
筆の運び、勢いの緩急、全体の中での部分の調和。
書道における技術的留意点はそのまま大東流の柔術技法にも当てはめられる。

話が横道にそれたので、動画解説に戻ろう。
今回、「一本捕」を一筆書きの要領で流れるように行ってみたのであるが、楷書的な柔術技法にしても、行書・草書的な合気柔術技法であっても、初動の「乗せる」という操作が重要であることには変わりがない。

「乗せる」とは、攻撃してきた相手を自分の腰(体幹)と繋げてしまうことであり、そこで無力化してしまうことだ。
その上で、柔術的技法で行う一つ一つの操作をほぼ同時的に、なおかつ簡潔に最小の動きを用いて行うことで「一筆書き」の技が成立する。

上記説明した一連の動きは、相手の攻撃の意思を妨げることなく、自分の優位なところに導くようにして制する手法であるが、「合気之術」という境地にまで達すると、この「乗せる」動きが相手を物理的・心理的に支配するような形で発動されるという。
これがいわゆる「合気」と呼ばれるものであろうと推察するが、私自身の技術はいまだその途上にある。
其の四百十九 八の字 大東流合気柔術 扶桑会 
今回からは大東流合気柔術の代表的な形ともいえる一本捕について解説していきたい。
特に体重移動で技をかけていくという、まさに大東流らしい考え方を含む身体操作法を取り上げるので、ぜひ参考にしてほしい。

まずは、初動である。
正面打ちで攻撃してくる相手の腕を、はじき返すのではなく全身を一体とした手刀の柔らかな動きで受け止める。
この瞬間に相手を乗せてしまうところに極意があるのだが、これは前回の「受け止める」でも解説しているのでそちらを参照されたい。
初動で相手とつながったら、そのつながりを失わないよう、一動作ごと丁寧に運んでいくのだが、最後に腕を斬り落とすときにどうしても力づく、つまり腕の力を用いて引っ張ったり引き落としたりということになってしまう。
ここで出てくるのが、冒頭で述べた体重移動による崩しである。

相手は両足が地面に接する二点で自分の身体を支えている。
これを固定したまま、その二点を底辺とする二等辺三角形の頂点に相手の重心を移動させれば、物理の法則にしたがって支え続けることは出来なくなる。
そして、その位置への移動を自らの身体を動かすことによって行えば、相手の抵抗はほとんど起こらない。
何故なら相手の意思に反した無理な力が働かないからである。

動画ではこの時に、相手の両足を結ぶ線と、自分の両足の作る線が「八」の字になるように運足する、としている。
これを「4点で台形を作る」「真ん中に鏡を置いたと想定して足を対称位置に置く」など、様々な口伝があるが、どれにしても要は相手の重心を三角点に導くために、自分の体重をどこに移動させるかということを語っている。

相手を動かそうとして無理に引っ張りまわすのでなく、素直に自分の位置を変えてことを進める。
古武術大東流の知恵に満ちた思考法だと感じるのだが、いかがだろうか。
稽古日誌 令和5年1月8日稽古始め、12日、15日 大東流合気柔術 扶桑会 
大東流合気柔術 扶桑会の稽古日誌です。
今年になって会の名称を「扶桑会」に変更し、気持ちを一新して修行に励みます。

そんな「扶桑会」の稽古始めは1月8日(日)でした。
まずは、会の名前をいただいた、神道扶桑教さんの世田谷太祠にて初詣を行うことから一年を始めます。

続いて、いつも稽古場にさせていただいている本殿にてお祓い、御祈祷を受けたあと、恒例行事となっている新年奉納演武。
今年は5人が、合わせて13の形を神前に納めました。
技術の巧拙にとらわれず、健康な身体で稽古できる感謝の気持ちを演武に込めます。

その後行った稽古では、奉納演武の内容を全員で修練しました。

当日は正月から続く晴天で気温も暖かく、こころから清々しく、楽しく汗を流すことができました。

扶桑教の管長から、「扶桑会」を名乗ることについても允許状をいただき、皆さんの前でお披露目。

これからの一年、心を合わせて進んでいきたいと思います。

続いては1月12日(木)、世田谷総合運動場体育館での稽古。

部分的な力に頼らず、全体を意識して動くことを中心に修練しました。

言葉にするのは簡単ですが、やはり実際にやってみるとなかなか思うようにはいきません。
言い換えるならば、いかに日常の中で、小手先の動きに終始してしまっているかを実感することにもつながります。

一日の稽古でできることは限られていますが、普段から意識して生活することができれば、必ず進歩していきます。

1月15日(日)は扶桑教太祠 本殿での稽古。

今年の稽古のテーマである「結ぶ」の字を稽古場に掲げました。

武術的には「相手と接触するその瞬間を大切にする」という意味を込めています。
攻撃してきた相手を、どう捉え、受け止め、こちらの意思を伝えていくか。

この考え方は武術だけにとどまらず、様々な局面で応用できるはずです。

「初動」の大切さを、どこまで意識できるか。
古武術修行を通じて、それぞれの生活にも何か良きものをフィードバックしていきたいものです。

其の四百十八 受け止める 大東流合気柔術 扶桑会 
<令和5年より、我々は東京稽古会から
「大東流合気柔術 扶桑会」と改称して活動してまいります。
今後ともよろしくお願いいたします>
今回は、相手と接触する瞬間にどのように動き、振舞えばよいかということについて述べてみたい。
すなわち、初動についてである。

古武術においては、相手との接触を「結び」と呼ぶ。
大東流合気柔術では、この「結び」の時点で相手を自分の身体と繋げてしまい、意のままに操ることを目指す。
操作としては、いつも言っていることの繰り返しになるが、肩から先の筋力に頼ってはいけない。
全身の連動をもって、柔らかく手刀を使うことで大東流合気柔術の「結び」の動作が実現する。

「相手と自分の身体を、接触した瞬間に繋げる」と簡潔に述べたが、より具体的には、正面打を打ち込んできた相手を自分の重心に乗りかからせしまうことで、目標を見失わせる、あるいは相手が体のバランスを崩して力を発揮することができない状態を作り出すのだ。

今回の動画では、剣を使う様子をイメージし、身体を伸ばした状態で相手の打撃を受けることを主眼として解説を行った。

もとより大東流合気柔術の根幹部分に係る技術である。
一朝一夕に習得できるところではないのはもちろんだが、少しづつ体に練り込むべく修練されたい。
其の四百十七 肘を挫く 大東流合気柔術 扶桑会 
<令和5年より、我々は東京稽古会から
「大東流合気柔術 扶桑会」と改称して活動してまいります。
今後ともよろしくお願いいたします>
今回の動きは初伝二ヶ条の「肘挫」という形である。
肘を逆関節にとって極め上げることで腰を浮かせて身動きが出来ないようにするのだが、技として最も重要なのは相手が攻撃を仕掛けてきたところを受ける、その瞬間である。

こめかみを目がけて手刀で打ちかかってくる相手に対して、こちらも手刀を伸ばし、頸動脈を打っていく。
気を付けてほしいのは、肩から先の腕の動きだけで打つのではなく、しっかりと膝を進めて、腰を使って打つことだ。
腕だけで打つと、どうしても上半身が前に傾いてしまって力が伝わらない。
腰を前方に運ぶことで、身体を安定させた状態で手刀打ちを行ってほしい。

こうすることで、ただ相手の横面打ちを受けるだけでなく、同時にこちらの攻撃を行うのだ。
むしろ首への手刀打ちを受けた相手の方が大きく体勢を崩すように動くことが重要だ。

この初動で相手を崩れを誘ったならば、全身を一体化して方向を180度転換する。
するとあっけなく相手の身体は仰向けにひっくり返る。
このようにして倒すことが、その後の肘を挫く動きにつながっていくのだ。

裏を返せば、初動が不十分だと、柔術的な極めに持ち込むことは難しい。
肘を使った固め方については、今後機会を改めて解説していくこととしたい。