扶桑会への入会について
通常稽古は毎週木曜・日曜(または祝日)の2回行っています。通常稽古は会員限定です。
入会希望者が参加可能な本稽古は 2月12日(日)14時から17時まで開催します。
場所は 世田谷区総合運動場 体育館 第一武道場です。
扶桑会への入会を希望される方は 左のメールフォームよりお問い合わせください。
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其の四百七 親指で絞る 大東流合気柔術 東京稽古会 
手刀が、その構造上「刃」と「峰」の働きを持つことを、これまでに何度か言及してきた。

それぞれに小指(尺骨)側と親指(橈骨)側がそれに対照するのだが、やはり主な使い方として「刃」のほうが前面に出ることが多い。
今回は「峰」の使い方に焦点を当てて解説を加えてみたい。
動画にあるように、この動きでは両方の手刀を使って相手の身体を攻めている。
中でも今回重要なのは親指の外側、すなわち「峰」を使って相手の肘の急所を引き付け、無力化している点だ。

同時にもう一方の手刀は「刃」を使って相手の手首を斬り込んでいるが、繊細で鋭い力を出せる「刃」に対して、「峰」での引きつけは非常に力強い働きができる。

もちろん、腕力で引きつけるような使い方ではなく、あくまでも「剣の理合」に基づく体幹を用いた操作であることが前提である。
ここでは親指を立て、その付け根のあたりに相手の肘を捉えることがコツとなる。
また、上腕の筋肉を使わず脇を締めると、非常に強い力が発揮される。

さらに「刃」と「峰」の力のバランスをとることで相手の身体は鋭く引き絞られ、肩から腰にかけての可動域を狭めることができるのだ。
剣の「刃と」峰」を二つながら効果的に併用するこうした操作法を研究するほどに、大東流合気柔術の奥深さを痛感する。
其の四百六 半座手刀詰 大東流合気柔術 東京稽古会 
手刀の使い方について様々な角度から見てきた。
今回も「手刀詰」という大東流合気柔術の動きから、東京稽古会が目指す基本の考え方を話していく。

手首を取られたときに手刀を通じて相手に力を伝達するというところは同じである。
異なるのは自分が座っている状態に対して、相手が立って攻撃してくるという点だ。
一見して体勢の低い自分が不利なように感じるのは自然な反応だが、そうではない。
相手の体勢の崩れを利用して、自分の重心の上に「乗せてしまう」ことによって無力化できると捉えるのだ。

この時に効力を発揮するのが「手刀」である。
小指側、すなわち「刃」の方を相手に向けて斬り上げる。これは前回までと同様だ。

今度は相手より明らかに自分の重心の位置が低いために、相手を押し返してしまいたくなるが、そうではない。
肘を前に出すような感覚で、斬り上げた手刀の先をやや自分の方に向けるようにする。
こうすると、相手の身体が自分の手刀を通じて腰の上に「乗ってくる」のが感じられるはずだ。

腰に乗せてしまったら、その先はその重みをコントロールするように動く。
決して肩から先の「腕力」を使って操作してはいけない。
次回はその先の動きについて改めて述べてみたい。
其の四百五 手刀で崩す 大東流合気柔術 東京稽古会 
さて、前回から大東流合気柔術における「手刀」というものの捉え方について詳しく見てきた。
今回は実際にそれを運用していく。

動画は「手刀詰」という操作であるが、この動きは相手がつかんできた手首を柔らかく握らせたままにしておいて、そのうえで手刀を使って斬り込んでいく。
この時に重要なのが相手に自分の手刀の「刃」を向けていることだ。
初心の修行者ほど、力で押し込もうとして掌を向けたり、腕の力で持ち上げようとして手の甲で押し上げようとすることが多い。

引き続き述べている通り、それでは手刀は効果的に力を発揮しないのだ。

自分の中心から相手に向けて、手刀の「刃」の部分、すなわち小指、尺骨の側を正確に向ける。
そうすれば自ずと、親指側は自分の方を向く。
手刀における刃と峰が「縦の関係」となっていることに合点がいくと思う。

「剣の理合」と言い伝えられる通り、刀をもって斬り込む意識をもって修練してほしい。
其の四百四 刃と峰 大東流合気柔術 東京稽古会 
「手刀」とは人体である腕、なかんづくその手の先を「剣」に見立てて運用する大東流合気柔術に特徴的な思考法だ。
これをもってその技術体系を「剣の理合に基づく」と説明されることもある。

手刀は「剣」である以上、鋭利な刃の部分と、その裏側にあって強度を担う峰の部分を持つ。
人体においてはそれぞれ手の小指側、親指側に相当する部分である。
前腕部分では刃が尺骨、峰が橈骨にあたる。
刀(剣)においては当然、鋭利な刃の部分を使うのが一般的である。
同じように手刀においても小指側、尺骨側を用いて操作することが、力を効率的に伝えるには有利である。
もちろん、状況によって峰の部分を活用することで効果を上げることもあるのだが、ここでは「斬れる」のは小指、尺骨の方であることに留意していただきたい。

今、ここで自分の手を手刀の形に開き、柔らかく伸ばし構えたところを見ると、刃と峰は上下の線の上に並んでいるはずだ。
つまり「縦の関係」である。

これに対して掌と手の甲の部分は側面を向いている。
これは剣においてもその側面、「鎬(しのぎ)」と呼ばれる部分である。
人は日常の身体運用で、どうしても掌で押したり、握ったりということが多いため、この部分を使うことに囚われてしまいがちだ。

大東流合気柔術では、手刀の考え方をもって、小指側(尺骨側)を主に用いる。
初心者が戸惑いがちなところではあるが、この身体運用の感覚の転換が、古武術修行においては必要になるのだ。
其の四百三 手刀の基本 大東流合気柔術 東京稽古会 
今回から数回にわたって取り上げるのは「手刀の使い方」というテーマである。

大東流合気柔術は「剣の理合」をもとにした体術であるとよく言われる。
その理合を最もよく体現しているのが、己の身体を「手刀」として操作する思考法だ。
まず、今回の動きでは手首をつかまれた際に手の先端を柔らかく開き、手刀を形作る。
この時上半身が硬直していては、力のある手刀とはならない。

自らの下丹田を発した力が指先まで満ち満ちて、さらにその先まで迸り出るような意識をもつことが重要である。
さらに肩から先をのびやかに使い、手首が曲がらないようにすることも肝要だ。

つまり、「腕を刀そのものであるように認識する」ことができるか?それが、手刀の使い方として最初に問われるのだ。
かくして手刀を作ることができたら、その手刀を全身の連動とともに外旋させ、相手の手首に斬り込むようにして腰を崩していく。

腰の崩しについてはこの動画では詳しくは触れなかったが、肘を出させる、腰に斬り込む、などいくつかの口伝がある。
それはまた、項を改めて述べることとしたい。