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扶桑会について

指導者: 石塚嘉 【達人・名人・秘伝の師範たち】
稽古日時:日曜14時半~16時半 / 木曜19時~21時
稽古場所:神道扶桑教 世田谷太祠 東京都世田谷区松原1丁目7−20 【道場紹介】 

入会希望者が参加可能な公開稽古は  10月22日(日)14時30分から16時30分まで開催します。
場所は 明大前 扶桑会館(神道扶桑教太祠 本殿)  です。
扶桑会への入会を希望される方は 左のメールフォームよりお問い合わせください。
  
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稽古日誌 令和5年8月31日 9月3日 7日 大東流合氣柔術扶桑会  




大東流合氣柔術 扶桑会の稽古日誌、今回は8月末から9月上旬にかけての修練の内容を記していきます。

まずは8月31日(木)の稽古。
この日は「交叉取り」に対してどう応じていくかというテーマでした。



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自分の右手に対して向かい合った相手も同じ右手で掴んできます。
丁度握手をするときを想像してもらえるとわかりやすいかと思いますが、YouTubeに公開している動画などでは実際にこうした形で攻撃をしてくることはないのではないかという批判を受けることが偶にあります。



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いわゆる「実戦では古武術的な動きなど役に立たない」という意見ですが、そうしたプラグマティック(実利優先)な思考と古武術とはやはり相性が悪いというのが私の持論です。

例としてふさわしいか分かりませんが、パソコンやスマホで文字を打つことが日常化した現代人にとって、墨と筆を使って字を書く書道など何の役に立つのだ、という論にも似ていて、そこには対話が成立しない状況だと感じています。



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全て世の中の技術には、その拠って立つ精神性や、理想とする思考が存在します。

スポーツ格闘技にもそれがあるのでしょう。
そしてまた同じく我々の追及する古武術においても、古来より連綿と受け継がれてきた極意があり、我々修行者はそこに到達することを目指しているのです。



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続いては9月3日(日)の稽古。

基本の形も、毎回着眼点を変えて行うことで、初心者も上級者も同じように新鮮な気持ちで取り組めます。



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手刀の概念化であれば、普段意識していないポイントについて取り組むだけで、いつもの決まりきった動きとはガラリと変わってきます。

この日は「手首を曲げない」という考え方を抽出しました。



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それぞれ社会人として責任を果たすなかで、週に二回の稽古はなかなか厳しいものがあるとは思いますが、各自で着眼点を工夫して毎回の稽古の意義を高めていってもらえればと思います。



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何の修行であっても、続けることが重要です。
会員の皆さんの継続意欲を手助けできるように、指導する側も精進を心がけます。



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最後は9月7日(木)の稽古。

手刀を「縦」に使う意識の養成から始めました。


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親指側を使うのも「縦」の考え方です。


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手刀には「刃」と「峰」があり、それぞれ小指側と親指側が相当します。
それらを接点に対して垂直になるように操作していきます。



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手刀については状況、形の種類によって千差万別、多様な考え方が可能です。

まずは根本の原理を理解して、その後応用編へと進んで行きましょう。



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Posted on 2023/09/13 Wed. 20:47 [edit]

category: 稽古日誌

thread: 古流武術・武道 - janre: スポーツ

tag: 大東流  合気柔術  手刀  古武術  中心 
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其の四百五十一 構える 大東流合氣柔術扶桑会  




相手に両手首をとられて押し込まれる。
強い力で圧倒されるかと思いきや、わずかな動きで相手の腰を浮かせて身動きできない状態にしてしまう。



構える1



大東流合気柔術の演武でよくみられるこういった動きは「合気」と呼ばれることがある。

いわゆる物理法則を超えた達人の所業というニュアンスが込められた「合気」という言葉だが、今回紹介する動きは、どちらかというと柔術的な物理法則を援用した操作である。

とはいえ、目に見える状況としては「合気」に近い。
相手の体の自由を奪うわけであるから効果としても同等といえるだろう。







単刀直入に言うと、これは「剣の理合」によって全身を使い、相手の体に柔らかい力を伝えている。

動きとしては「刀を構えるように」相手に対峙し、掴まれたところを脱力することで抵抗し難い力を発揮するのだ。



構える2



合気上げ」という操作法は、多くの大東流の形の初動に使われるが、その根本原理がこの動きに込められている。
もちろん、この操作が円熟しより精妙になることによって先に述べた「合気」に近づいていくのであろう。



構える4



「掴まれたところを脱力する」というのは、ここまで再三言及してきたように、部分的な出力に陥らず、自分の体全部を使って力を出していくことで実現する。

「剣を構える」ことはまさにその全体を使う動きに通じる。



構える5



対人稽古でなかなかコツがつかめないという方は、まず一人稽古で剣を持ってみることをお勧めする。

剣を扱うとき、部分的な筋力は使わないはずだ。
全身を使って剣を振る稽古をするだけでも、合気上げの鍛錬になる。





Posted on 2023/09/09 Sat. 19:00 [edit]

category: 両手捕

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tag: 大東流  合気柔術  手刀  剣の理合  合気上 
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稽古日誌 令和5年 8月20日 24日 27日本稽古 大東流合気柔術 扶桑会  




大東流合氣柔術 扶桑会の稽古日誌です。
今回は8月下旬の稽古の内容を記録していきます。

まずは8月20日(日)。この日は扶桑会の行事として二段審査を開催しました。



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大阪琢磨会から小林清泰先生をお招きし、立会をお願いしたうえでの審査です。

大東流の二カ条は合計30本。
一カ条からは難易度も格段に上がります。



2段審査1



継続した鍛錬の成果を見せて、無事に審査合格。2段認定となりました。

世界中どこの国においても、人間の言語読解能力の平均値は小学校6年生から中学校1年生のレベルだそうです。
それは、日常生活においてそのレベルの読解力があれば一通りのやり取りが支障なくこなせるから。

つまり、「とりあえず出来る」ところまで能力が上がった時、人は「それ以上のレベルに上げていく努力をしなくなる」という、興味深い分析があるのです。



二段審査2



これは武術の世界においても同じことがいえると考えます。

段位を上げて、一通りのことができるようになったとき、さらに切実にその上のレベルを目指す意識を持てるかどうか?
あくなき向上心は、もっと道の奥深くを見てみたいという真摯な思いから発します。



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これからも変わることなく、古武術探求の心を持ち続けてもらいたいと思います。



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続いては8月24日(木)。



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この日は基本に立ち返り、攻撃を受けたときに自分がどういう心構えで対応するかを中心に稽古しました。

掴まれた部分を全身で操作して、三角点に導き崩す動き。



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突き出された腕の内または外に体を捌いて、そこから崩しをかけていく動き。

シンプルな動きほど古武術の核心的な考え方が明確に現れます。



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最後は8月27日(日)。
この日は8月の本稽古でした。



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相手の攻撃を体捌きをもってかわす動きから始めました。

全身を一体化させて動けるかどうか、簡単なようで難易度は高いです。



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さらに木刀や短刀を使って負荷を上げていきます。
人間の体の動きに、目で見える脅威の強さが大きく影響することを実感します。

平常心の維持こそが、達人への道なのです。



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さらに手刀の使い方を研究したのち、この日は総伝技の研究も行いました。

相手に掴まれたところを、そのまま掴ませておいて、厳しい関節の固めに入ります。
琢磨会に伝わる、昭和のはじめ武田惣角の円熟期の技です。



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基本から「幻の技」総伝まで。

これからも扶桑会では、奥行深く大東流合気柔術の探求に取り組んでいきます。



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Posted on 2023/09/05 Tue. 20:40 [edit]

category: 稽古日誌

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其の四百五十 手の甲 大東流合気柔術 扶桑会  




接点の脱力で相手に力を伝える考え方について、さらに別の角度から解説を加えてみる。

それは、「密着することで感覚をかく乱する」という技法である。



手の甲1



相手に強く拘束されたとき、接点である手首(手刀)を脱力する。ただし手刀にはエネルギーを通したままにしておき、いわゆる「手刀を活かした」状態である。

今回のキモとなるのは、この時に掴んでいる相手の掌(てのひら)に自分の手の甲を柔らかく密着させていくことだ。







密着させるという言葉で、自分から手の甲を押し付けていくようにとらえてしまう人も多いだろう。
実際に稽古の中でもそうした誤解に基づいて操作して、うまくいかない場合が散見された。



手の甲2



大事なことは、相手の掴んでくる動きに「沿う」ようにして密着することである。
こちらから動いてくっつけていくのではなく、あくまで相手の動きに合致するような意識で動かしてみる。

そのために、相手の動きをよく感じ取り、自分の身体を柔軟にして対応することが重要になる。



手の甲4



最初は要領がつかみにくいかもしれないが、小手先の動きで合わせていくのではなく、全身を使って相手の掌に密着させるような気持ちでやってみると、突破口が開けるはずだ。

これがうまくいくと、相手は自分の力のやりどころがわからなくなってしまう。
その混乱に乗じて崩しをかけていくのだ。



手の甲5



接点である手首や手の甲の部分に視線が行きがちかもしれないが、そこから離れた全身にこそ、技を成立させる秘訣が含まれている。
そうした逆転の発想が有効であるところも、大東流合氣柔術の魅力といえるだろう。






Posted on 2023/09/02 Sat. 19:00 [edit]

category: 片手捕

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其の四百四十九 合谷を使う 大東流合気柔術 扶桑会  




今回も接点に力を入れず、柔らかく操作することで力を発揮する大東流合氣柔術の技法を紹介したい。



合谷1



前回(其の四百四十八 親指で乗る)と同じく、肩から先の筋力を使ってしまうと機能しなくなる身体操作である。

両手首をつかまれたところ、今回は自分の両方の手刀を刀を持つように合わせ、中心に構えるようにして沈む。







筋肉の力をもって押したり、引いたりすると相手は敏感にそれを察知して対処行動をとってしまう。
ただただ素直に手を合わせ、自由落下するかの如く垂直に重心をかけてみてほしい。



合谷5



手の親指と人差し指が二股に別れたところを「合谷(ごうこく)」というが、これは刀の柄を握る際に縦一直線に「谷」の部分を合わせるようになることをイメージしてほしい。

これを相手に掴まれた手の上でも再現すると、非常に大きな力を発揮できるのだ。



合谷6



まさに剣の構えかたを身体操作にも活かしていく代表的な例だが、大東流は「剣の理合に基づく」との言葉通りである。
最初はうまくいかないかもしれないが、姿勢、肩から先の脱力は、実際に刀を握り、振ってみてその身体感覚を確かめてみてほしい。



合谷7



動画の中で、動き始めの「予備動作」を作らずに沈むようにとの表現があるが、これもまた、刀を使うことを想定してみると腑に落ちるところだろう。

剣を使った鍛錬も有効である。扶桑会では今後もこうした理合の研究を続けていきたい。






Posted on 2023/08/26 Sat. 19:00 [edit]

category: 両手捕

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其の四百四十八 親指で乗る 大東流合気柔術 扶桑会  




攻撃してきた相手と接しているところを脱力し、柔らかく使うことで打開していく動きについて、これから数回にわたってお伝えする。

「接点でぶつからない」、大東流合氣柔術ならではの考え方だ。



親指1



たとえば拳による突き、足による蹴りなど、勢いづいた攻撃者との接点を柔らかく捉えるということは、それだけで大変難しい技術だ。
最初からそうした動きが自在に出来るようにはならないので、その訓練として片手首をつかまれる状況を想定する。







最初のうちはこうした入力に対しても、やはり体がこわばってしまい、力任せに振りほどこうとするような形になってしまうだろう。



親指6



動画の中で説明している通り、初心者はまず肩から先の筋力を「オフ」にすることを目指してみてほしい。

実際には手首で相手とぶつからなければ良いのであるが、接点だけを脱力するのは慣れないうちは難しい。



親指3



そのうえで、手のひらに関しては指先を柔らかく開くようにする。
扶桑会ではこれを「手刀を活かす」と言っている。

さらに開いた手刀の親指の「背」の部分で、相手の親指の付け根に触れるようにするのだ。



親指5



この時に、先ほどの「肩から先の筋力オフ」が重要になる。

足を動かし、全身を使って相手の親指に触れていくような意識で操作してみてほしい。
このことが「ぶつからない身体の使い方」につながっていくのであるが、今回はここまで。

次回もまた、同様の動きについて解説してみたい。







Posted on 2023/08/19 Sat. 19:00 [edit]

category: 交叉捕

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tag: 大東流  合気柔術  手刀 
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其の四百四十七 柔らかく使う 大東流合気柔術扶桑会  




害意ある相手に対して力で立ち向かうから、相手もまたそれ以上の力で向かってくる。
するとまたこちらもさらに大きな力で対応し…と終わりのない軍備拡張競争の寓話にでも出てきそうな話ではあるが、これは我々の身近なところでも、常に起こりうるジレンマだ。

大東流合気柔術は、力に対して違う角度から対処することを教えてくれる技術の体系を持っている。



柔らかく使う2



今回の動きは、古武術大東流の考え方を使って、ちょっとした身体上の実験を試みたものである。
「遊び」と言ってもいいだろう。

対人護身に使えるというような類の物では全くないので、ご了承いただきたい。







実験と言っても、やることは簡単で「いかに掴まれたところの力を抜くか」ということ。

あたかも自分の手首とその周辺が、良くしなる「鞭(ムチ)」にでもなったイメージで相手の手首に巻き付けていくのだ。



柔らかく使う1



少しでも自分の身体に硬くぶつかるところがあると、相手もまた身体を固めてしまって動かない。
手首をつかんだ相手が拍子抜けしてしまうほどに、力を抜くことが出来るかが問われる操作だ。

この脱力を完全に行うと、相手の抵抗はほぼなくなる。
そして自分の思うとおりに動かしていくことさえできるのだ。



柔らかく使う



ただ、一点断っておかないといけないのが「完全なる脱力」というものが、まったく物体として重力の支配下にあるものかというと、それとも言いきれないところがある。

この完全脱力した手刀(肩から先、手の指先まで)の芯には、操作する人の「意志」が通っていなければならない。
あるいはエネルギーと言い換えてもいいだろうか。

これを先達たちは「氣」というような言葉で呼びならわしたのかもしれない、と今の私は考えている。



柔らかく使う3



「芯を作って脱力する」。

音では簡単に言える短い言葉だが、これを実際に運用できる身体になることが私たちの修行の目的なのだ。








Posted on 2023/08/12 Sat. 19:00 [edit]

category: 両手捕

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其の四百四十六 持たせる 大東流合氣柔術扶桑会  




相手につかまれた手を、そのまま離させずにこちらの思うところに動かしてしまう。
今回はそんな大東流合気柔術に特徴的な操作を紹介する。



持たせる1



術がうまくかかればかかるほど、これを見た人の不審の念は深まるかもしれない。
技の受け手側が忖度して手を離さずにいるのだと思い、インチキだと片付けてしまう人もいるだろう。

しかしこれまでに何度も解説してきているように、攻撃の意思を持って掴みかかった人間の手というのものは、そう容易なことで開くものではない。







それはちょうどカバンを持っている人が、突然誰かにそのカバンを奪われそうになったとき、思わず反射的に力を入れて把手を握ってしまうのと同じ心理的な働きがあるからだ。

もちろん、この譬えは一瞬の間に限り有効なものであって、技をかけるほうは相手の心理的規制が有効な間に取り押さえてしまわなければならない。



持たせる4



この時に捕り手側(技をかける方)が、精妙な感覚で攻めなければならない急所がある。

それが相手の掌底、さらに言えば拇指丘と小指球のちょうど間にある窪みの部分なのだ。
動画の中では「掌の谷間」と表現しているが、正確には上の表現がイメージしやすいだろう。



持たせる3



術者はここを攻めなければならないのだが、その攻め手にも微妙な感覚が要求される。

まず、腕の筋肉を使って突き上げるようにしたのでは、相手の心理的規制は起きにくい。
刀を使うように、手刀の小指側(刃)の方を意識して斬り上げるように操作する。
つまり「摺り上げ」の動きなのだが、これは全身を連動させて行うことが前提となる。



持たせる2



急所を攻めて相手の体が吊り上がったら、接点の感覚を変えないようにして素早く相手の腕の下をくぐり、後ろに回る。
慌ててしまうと、小手先の力になってしまいがちなので注意すること。

最後の極めの形は「脇詰め」となるが、この詳しい技法についてはいずれ項を改めて解説する。




Posted on 2023/08/05 Sat. 19:00 [edit]

category: 片手捕

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其の四百四十五 並んで攻める 大東流合氣柔術扶桑会  




「剣を使うように」相手の身体を操作する、大東流合氣柔術ならではの技法解説、今回は「相手の隣に並ぶ」思考法を解説する。



並んで攻める2



これも「摺り上げ」の動きがその根幹となる考え方だ。
「摺り上げ」についてはここ何回か継続して取り上げているので、そちらも併せて参照してほしいが、手刀の刃(小指側)を意識しながら、自分の身体の中心で操作することが基本となる。







両手をつかんできた相手の手首を、手刀を立てるようにして相手の肩を詰める。
この初動で相手の体幹部分とつながるところが最初の難関であるが、これはいわゆる「合気上げ」の技法によって可能になる。
(この部分は「其の四百四十 刃に乗せる」で詳しく解説している)

さらにここから、この相手とのつながりを失わないように攻めを展開していくのだ。



並んで攻める3



手刀を摺り上げるようにして立て、相手の肩を詰めたら、そのまま自分の中心手刀を構え続けたまま、相手の側面に入り身する。
出来るだけ全身を脱力して、ただ「隣に並ぶ」ような気持ちで入っていくのがコツだ。

この時身体を転換する外側の手で、相手の手首を軽く握っても良い。
力を込めて握ってはいけない。あくまで小指をひっかける程度の入力にとどめること。



並んで攻める4



上手く隣に並ぶことが出来たら、相手にはこちらの全身の力がダイレクトに伝わる。
たまらず爪先立ちになって、その大きな力から逃れようとする相手の肘を肩に担ぐようにすれば、まったく身動きさせることなく制することが出来るのだ。



並んで攻める5



動画の中でも指摘しているが、この時に相手の腕を一本の刀と認識し、その切先を相手の肩に突きつけ続けること。
その攻めの意識が途切れたとたんに、相手への力の伝達はなくなってしまう。

これもまた、古武術大東流の「剣の理合」を如実に示す技術である。









Posted on 2023/07/29 Sat. 19:00 [edit]

category: 両手捕

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其の四百四十四 縦に重ねる 大東流合氣柔術扶桑会  




今回もまた、腕を刀に見立てて操作することで相手の身体の自由を奪う技法について解説していく。

ポイントは「立てる」操作だ。



縦に重ねる



初動は「掛け手」。
手首をつかませるかの如く差し出し、相手が手を出してきた瞬間に摺り抜けるようにして反対につかみ返す。

大東流合気柔術では、自ら姿勢を崩して攻撃を仕掛けていく技の体系は少ないが、「掛け手」のように、こちらから相手に攻撃させるよう仕向けることで、相手の崩れを誘うことは頻繁に行う。







この動きも、相手の重心を前にかけさせることが目的であって、その状態でこそ技が有効になる。

前に踏み込んだ相手の手首をつかみ、それを「刀の柄」と仮想して、剣先を「立てる」ように操作する。
この操作によって、相手の肩が詰まり、身体を浮かすことが出来るかどうかで成否が決定する。



縦に重ねる2



刀の柄を握って剣先を「立てる」わけであるが、この時に必要とする握力や手首の力は極めて小さくて良い。
実際に木刀か模擬刀を使ってその操作をしてみると良く分かると思うが、腕に力を込めて剣を立てることはないはずだ。

ただ、人の手首をつかむとなると、どうしても力が入ってしまう。
ここで意識を変えられるかどうか、そこが稽古だといえる。



縦に重ねる5



ただ刀(剣)を立てるがごとく、小指を締め、全身の力を使って相手の身体を浮かすことが出来たら、次は手中にある二本の腕を交叉させる。

この時に、重ねる下側の腕の峰(親指~橈骨)に、上側の腕の刃(小指~尺骨)を垂直に合わせる。
まさに刃筋を立てるように。

前回同様、不思議に思われるかもしれないが、人はこの操作で自縄自縛に陥り、つま先立ちのまま身動きが出来なくなってしまう。



縦に重ねる4



こうした技法は表面上の動きの面白さや不思議さにとらわれがちだが、初動で相手を前のめりにさせきれるか、次に手首を鋭く「立てる」ことで制することが出来るか、そうした「初動の正確さ」が成否のほぼ9割を占める。

枝葉にこだわらず、根本部分に備える稽古を心がけてほしい。






Posted on 2023/07/22 Sat. 19:00 [edit]

category: 掛け手

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