扶桑会への入会について
通常稽古は毎週木曜・日曜(または祝日)の2回行っています。通常稽古は会員限定です。
入会希望者が参加可能な本稽古は 2月12日(日)14時から17時まで開催します。
場所は 世田谷区総合運動場 体育館 第一武道場です。
扶桑会への入会を希望される方は 左のメールフォームよりお問い合わせください。
入会希望者が参加可能な本稽古は 2月12日(日)14時から17時まで開催します。
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其の四百十二 捌いて制する 大東流合気柔術 東京稽古会 
攻撃を仕掛けてきた相手を、その力に逆らうことなく制してしまう。
今回は、大東流合気柔術「小手詰」の操作法を通じて、そうした考え方を解説する。

相手の攻撃は胸取りである。足を踏み出し「なんば」の動きで胸をつかみに来る。
そこには必ず攻撃線が生じる。
その時、相手との接点に手刀で軽く触れながら攻撃線を挟むように内から外に身体を捌く。

この「軽く触れながら」というところが非常に機微なのであるが、強い力で操作してしまうと相手もまたそれに呼応するように力をぶつけてきてしまう。
あくまでその接点に手首を留めておくだけ位の心持で「小指だけをひっかけるようjに」自分の身体だけを動かしていく。

この操作によって、相手の心理的には反撃を受けたような自覚がないままに、大きな力を手首関節から肩にかけて受けることになる。
体感してみれば良く分かることであるが、相手の腕による攻撃に対して、全身の力を効率よく伝えるわけで、抗いようのない形で体の自由が奪われてしまう。

さらにこの操作には、自分の重心、すなわち地球の引力と合致した軸に相手を引き寄せ、そこに「乗せて」しまうという要素もある。
そのあたりの考え方については、また項を改めて述べることにしたい。
其の三百八十五 逆襷 大東流合気柔術 東京稽古会 
相手の攻撃に対して自分の体勢を崩さずに応じる動きについて、これまでに何度か解説を加えてきた。
今回の操作法ではその動きから転じて相手を崩すために働きかける。

当然のことながら、攻撃を仕掛けてくる相手も最初から自分が技をかけられて倒されることを前提にしているわけではない。
こちらを圧倒し、制することを期して立ち向かってくるのである。
そういう相手に対して効果的にこちらの力を伝えるために、古武術では脱力の思考法で応じていく。

逆説的に聞こえるだろうが、この逆襷の動きもまさにその思考法を体現したものだ。
中段を突いてくる相手に対し、その攻撃線に沿うように身体を捌く。腰を中心に動いていくことはこれまでに見てきた通りである。

さらに相手の裏に入り身しながら、腕を斜めに巻き付けるように相手の腕と首に伸ばす。
この時に自分の上半身を柔らかく脱力した状態で使えるかが成否を分ける。
腰で捌き、腰を中心に力を発揮する意識が、上半身の筋力を使わない操作につながるのだ。

相手に力を伝えるときこそ、接点ではなく自分の中心を意識する。
思考の転換が必要となるこの動きを、反復修練してほしい。
稽古日誌 令和4年3月10日、13日、17日、21日 大東流合気柔術 東京稽古会 
大東流合気柔術東京稽古会の稽古日誌。今回は3月中旬の記録です。
まずは3月10日(木)、扶桑教太祠 本殿での稽古。

合気上げ鍛錬法、片手取転換投、居捕逆腕捕、二カ条極めの4本。

相手に密着して操作する、重心を乗せるなど、繊細な身体感覚を修練しました。
これらはすべて大東流の奥義につながる考え方です。

この日は日本の伝統芸能「地唄舞」のお師匠さんが稽古の見学に来られました。

丹田を意識した動き、重力を真っすぐに身体に受ける姿勢。
武術と舞踊との間の共通点についても稽古後に皆で話し合い、楽しく意見交換させていただきました。

3月13日(日)の稽古には、大阪琢磨会より小林清泰先生が東京稽古会に指導に来てくださいました。

稽古は一本捕、逆腕捕、車倒、肘返など

主に大東流初伝の基本形に取り組みました。

技のディティールにこだわった指導を受け、初心者にとって有意義な時間となったと思います。

遠く東京にまでお越しいただき、非常に熱心に指導していただけることに感謝です。

続いて3月17日(木)、世田谷総合運動公園体育館での稽古。

手首の鍛錬を中心に基礎稽古。
鎌手詰、小手返、手刀詰、3カ条詰…

手首の鍛錬ではありますが、局部を意識するのではなく、全身の連動や、身体全体をさばいていくことが需要だということが改めて理解できます。

充実した稽古内容が、シブい表情でキメた写真でうかがえます。

3月21日(月・祝)は春分の日。新木場の東京スポーツ文化館での稽古。

一年ぶりの会場です。

稽古は大東流の特徴的な技法「搦める」を中心に取り上げました。

さらに相手の攻撃を受けた時と、はずした時の動きの違いについて。

生きた武術として稽古するためには、時には受けての動きを意表を突いた方法で処理していくことも必要です。

揺れ動く社会情勢や、人間関係の中で自分の軸を失わずに生活していくのも、一つの武術的思考スタイルです。

純然たる受け身で修練していては大東流合気柔術の核心部分をつかむことはできません。

自分なりの工夫をしながら取り組めるような稽古の流れを、今後はもっと多く取り入れて行こうと考えています。

其の三百七十七、取られる/取らせる 大東流合気柔術 東京稽古会 
自分の力を十分に発揮して、かつ相手の力はそうさせない。
武術に限らずあらゆる競技や交渉ごとにおいて、これが可能になれば達人と称されるだろう。

そのために重要なのは相手が仕掛けてくる「攻撃の受け方」だ。
今回は片手取りを例にして考えてみる。
大東流合気柔術の思考法として、中心の力を活かすということが必須である。
片手を取りに来る相手は人体の構造上、片足を踏み出して手を伸ばしてくる。

その踏み出した足の延長線上にいて攻撃を受けると、相手の中心の力は十分に生かされてしまう。
自分がその攻撃線から外れる位置に立って受けることもできるが、別の考え方もできる。

相手が取りに来る接点、つまり自分の手首を少しだけその攻撃線からずらすのだ。
もちろん小手先の動きになっては相手を上手に欺くことはできない。
微妙に全身を連動させて手首の位置を変えるのだが、ただこのようにするだけで相手は力を出せず、自分は比較的有利に事を運ぶことができる。

とはいえ、この操作は達意の人となるための極めて初歩の一段階であり、これをもって訓練を行うべきものに過ぎない。
基本的な操作法を身につけたうえで、起こりうる様々な状況に対応する術を導き出していってほしい。
其の三百七十四 半座脇挫 大東流合気柔術 東京稽古会 
相手が攻撃しようとしてくる場所から「いなくなる」という動きについて考えてみたい。

大東流合気柔術では初動で相手の攻撃線を外し、自らを有利な位置に置くことを基本的な考え方としている。
今回取り上げた半座半立(自分は座位、相手は立ち)の形「脇挫」においても同様である。
ただその運用法として、ぎりぎりまで相手に攻撃対象としての自分の姿を認識させつつ、まさに相手が自分をつかもうとするその刹那に、あたかも本体が消失するように動くことで、技の効果が発揮される。

自分の胸をつかもうと伸びてくる相手の腕を上下の手刀で挟む、その腕に沿うように体を密着させるなど、初動に続く動きの中に様々な要素が含まれるが、それらも全部この「相手の前から消える=いなくなる」という操作によって可能となるのだ。

またこの「攻撃線上からいなくなる」という考え方の要素は、一本捕や逆腕捕などあらゆる形の崩しの際に利用される。
それは「相手が崩れることのできる空間をあける」というふうに解釈を変化させていくことによって運用されるのだが、それはまた項を改めて解説していくつもりだ。

大東流の思考法としての「いなくなる」を実現するには、相手の心理状態を読み、操る過程が必ず含まれる。
これを考究していく中に、いわゆる「合気」につながる動きが現れるのではないかと感じている。