扶桑会について
指導者: 石塚嘉 【達人・名人・秘伝の師範たち】
稽古日時:日曜14時半~16時半 / 木曜19時~21時
稽古場所:神道扶桑教 世田谷太祠 東京都世田谷区松原1丁目7−20 【道場紹介】
入会希望者が参加可能な公開稽古は 6月25日(日)12時30分から14時30分まで開催します。
場所は 世田谷区総合運動場 体育館 第一武道場です。
扶桑会への入会を希望される方は 左のメールフォームよりお問い合わせください。
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稽古日時:日曜14時半~16時半 / 木曜19時~21時
稽古場所:神道扶桑教 世田谷太祠 東京都世田谷区松原1丁目7−20 【道場紹介】
入会希望者が参加可能な公開稽古は 6月25日(日)12時30分から14時30分まで開催します。
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其の四百十六 落差で崩す 大東流合気柔術 扶桑会 
<令和5年より、我々は東京稽古会から
「大東流合気柔術 扶桑会」と改称して活動してまいります。
今後ともよろしくお願いいたします>
前回、座ったままで相手を後方に投げ飛ばす「居反」という形を解説したが、それを立った状態で行うとどうなるかということを述べてみる。

両手首を抑えに来た相手の手を逆に取りかえし、人差し指の付け根で急所を攻める。
この急所は手首の「脈所」と呼ばれる部分であるが、自分の腕に力が入ってしまうと相手に力が伝わらない。
むしろ手刀を真っすぐに伸ばすようにして、自然に当たるに任せておくくらいの気持ちで操作すると、非常に威力ある攻めとなる。
この操作が決まれば相手は浮足立ち、腰の位置が上がる。
こうなれば前回解説した、「乗せる」状態へと相手の重心を誘導できる。

次に、立った状態から正座へと自分の体位を変化させる。
これは非常に大きな落差を生む。
相手は自分の重心を奪われているわけなので、これもまた大きな威力を発揮して、たまらず前方へと飛ばされていくわけだ。

ただし、これは自分の体位変化が、地球の引力に沿った「垂直落下」でなければ効果を発揮しない。
つまり、筋力の作用による引っ張りや押し込みがはいってしまうと、とたんに技がかからなくなってしまうのである。
そして、その「垂直落下」を可能にするのは全身を脱力して動けるかどうかにかかっているのだ。
脱力によって感覚を研ぎ澄まし、自分の身体の状態を正確に感知するセンサーを働かせなければならない。

初動で手首を極めるのも、しゃがみこんで投げる時にも、十分な脱力をもって全身の力を使う。
大きく派手に見える技ではあるが、そのパフォーマンスを支えているのはやはり、脱力の思考法であることを銘記していただきたい。
其の四百十四 居反 大東流合気柔術 東京稽古会 
今年最後の更新となる動画解説、今回取り上げるのは「居反(いぞり)」という形である。

跪坐の状態で座っているところに立った相手が両手をとって攻撃してくる。
それを合気上げの技法で自分の重心に乗せ切って後ろに投げ飛ばすのであるが、そこには「乗せて」「沈む」という二つの難関が立ちはだかる。
まず「乗せる」であるが、これは相手の体勢の崩れを利用して、手刀を柔らかく使うことで相手を自分の重心に誘導していく。
押し返したり、引っ張ったりすると相手は反発してしまう。

上手く乗せることができれば、次はその乗せた重心を一気に沈むことで相手の全身を崩していく。

もちろんこの時には、地球の引力に合致した線上にまっすぐ沈むことが重要なのだが、座った状態でそれを行うのは非常に難しい。
ここでは跪坐を瞬時に正座に変じ、さらに腰を地面につけるようにして落とすことで沈身している。

「乗せて」「沈む」という二つの操作を、滑らかに連続して行うところにこの技の要諦がある。
自然体の中で脱力できるよう、修練していただきたい。
其の三百九十七 座礼 大東流合気柔術 東京稽古会 
自然体に適った所作の美しさについて述べてきたが、それはただ単に美しいから是であるということではない。

所作として美しいこと、自然体に適った動きというのは「強い」のだということも、この古武術の修行の中でとらえるべき考え方である。
一例としてここでは正座をした状態からお辞儀をする、いわゆる「座礼」を取り上げたが、稽古の中で扱う様々な形においても、それは等しく当てはまる。

また同時に、自然体であるということがそうした動きの中のある一時点にとどまるものではなく、全体を通して維持されていなければならないということにも注意してほしい。

たとえばこの座礼で相手に力を伝える場合において、一見すると体を前に折り曲げるその時に背筋を伸ばしているようにとらえる人もいるかもしれないが、実は一番重要なのは、相手が肩に手を置くその瞬間に自然体をとれているかということが最も大事なのである。

この時に相手の重心を自分の持つ重力の軸の上に合致させ、自分の腰に乗せてしまう。
そうして相手との一体がなされたときにはじめて、動画にみられるような大きな力の発揮が実現するのだ。
稽古日誌 令和4年7月28日 31日本稽古 8月4日 大東流合気柔術 東京稽古会 
大東流合気柔術 東京稽古会の稽古日誌です。今回は7月下旬から8月初めにかけての記録です。
まずは7月28日の稽古から。

最近入会した会員にとって、はじめは形の手順を覚えるだけでも難しく感じるものです。
それに加えて古武術的な身体の使い方を学ぶわけですから、頭と身体がついていかないことも多いと思います。

そうした初心者に対して経験者は自分の持っている知識を伝えていきます。
できるだけわかり易く、自分の持っている感覚を言葉に変え、身体操作に変換していきます。

こうして意識化された武術鍛錬の集積が、これまで長く続いてきた古武術の伝承の核心です。

つづいて7月31日。この日は7月の本稽古でした。

自然体をどのようにして実現し、体を運用する中で維持していくのか?
この日はそうしたことをテーマに研究しました。

立ち方、座り方、乗せる動き、三角飛びでの運足法、正面打ちを多種の捌き方で捕り制する方法…

どの動きにも、自然体を保ったまま相手の身体に力を伝えていくことが要求されます。

この日は4級審査を開催。
技術の内容はもちろんのこと、演武開始から終了まで気持ちの統一を崩さないことや礼法に重きを置いて審査しました。

古武術の真髄は「所作」にあらわれる。
東京稽古会の重視する考え方に沿った、良い稽古となりました。

最後は8月4日(木)の夜稽古。

連日の猛暑が少し和らいだこの日。
心なしか皆の動きも軽快でした。

形の稽古は決まった動きを繰り返すと思われがちですが、決してそうではありません。

同じ動きであっても、攻撃を受けるたびに工夫を重ね、形が持っている核心に迫っていきます。
それは経験が浅い修行者でも、熟練の者でも同様です。

薄紙を積み重ねるように、自分の古武術に対する認知が厚みを増していく…
そんな喜びが日々の鍛錬から見出せるように。
私も精進します。

其の三百九十六 自然体とは 大東流合気柔術 東京稽古会 
昔の日本人の写真などをみると、それが市井に生きる一般の人であったとしても、そのたたずまいを「美しい」と感じられる。
武士階級や芸道などに通じる職業、あるいは肉体労働の従事者などであればなおさらのことだ。

ただ、立ったり座ったりするだけの所作であっても、そこに美しさを内包した振る舞いができることは素晴らしいことだ。
私たち大東流合気柔術 東京稽古会では、所作の美しさを取り戻すことが武術者としての一つの務めであると考えている。
その美しさの発する源はどこかといえば、地球が運行する法則に合致していることである。
言い換えればすなわち、「自然体であること」。

地球上にあるあらゆるものが、引力の影響を受けている。
私たちは自分の生活においてそれをどのように受け入れ、恩恵を得るかということを念頭に、人生を営んできたはずだった。

今ここでは地球の引力一つを取り上げたが、それだけではなく、己を取り巻く環境そのものを深く洞察して認識し、その真理に対して合致していくということが、古来から日本人が選び取ってきた生活態度であったはずなのだ。

「自然を征服する」という思想のもとに機械化を押しすすめてきたこの百年余りの日本。
西洋文明の受入によって失われた日本人古来の身体感覚を、古武術の身体操作の修行を通じて取り戻していきたい。
其の二百五十九、動きを追う 大東流合気柔術 東京稽古会 
座って行う鍛錬法です。
全身の連動と脱力の感覚を養成します。

大東流合気柔術では、この操作法のように双方が座って両手を取らせ、上半身の力を使わずに崩していく「合気上」の鍛錬法もありますが、これもその一変形です。
動画を見てください。
座って両手首を押さえられます。
取られた手首に力を入れて動かそうとすると、相手の抵抗を受けて、力のぶつかり合いが起きます。
そうなってしまうと、強く押し込んできている相手の身体は、よほどの体格差や力の差がない限り動かせません。
腕で動かそうとせずに、身体の重心を移動させるような意識で、膝ごと一方向に動かしてみてください。
そうすると、強く押し込んできていた相手の身体が若干ですが動くはずです。

ここで大事なことは、肩から先の力を抜くことです。脱力が出来ていると、下半身の動きが接点を通じて相手に伝わります。
腕に力が入っていると、引っかかるように相手の力を感じて動かせなくなってしまいます。

相手の身体が動いたら、その動きを注意深く追うようにして、さらに自分の身体を動かしてみましょう。ここでも、上半身の力を使うのではなく、足~腰を動かしていく意識が必要です。
慣れてきたら、相手に手首を押さえられると同時に崩しをかけていく修練をしてみてください。
相手にしっかりと手を取らせることがコツですよ。

この動きは様々な技に応用することができます。
東京稽古会で、体験してみませんか?
其の二百四十、一カ条居捕小手返 大東流合気柔術 東京稽古会 
大東流合気柔術、一カ条小手返の居捕の解説です。
前回の立合い技では、小手(手首から肘)の関節を逆に取ることで体幹を崩していくというところに重点を置きましたが、今回は双方が座ったままの状態で行う居捕です。

その場合の動き方について見ていきましょう。
まずは動画から。
相手が両手首をつかんでくるところを全身で受け止めます。
さらに手刀を喉元に向け、力を返しながら肘に相手の重心を乗せるようにしていきます。
前回同様、ここが一番わかりにくく、かつ難しい操作だと思います。
重要な点は、相手の攻撃を跳ね返さず受け止めること、さらには柔らかく手刀を使って相手に力を返していくようにすることです。
これは、合気上の鍛錬などを重ねる中で会得する必要がありますよ。

ここから先、手首を小手返にとって、小手を斬り落としていく動きについては、前回解説したことと同様の過程ですが、大きく異なるところがあります。
それは、双方が座ったままで技を行っている点です。

立合の場合は、全身を連動させる際に足を動かして、腰を切ることが比較的容易です。
ですが、居捕においては重心の移動、膝行を使って細かく適正な位置に自分の身体を置かなければなりません。

手刀を動かすときには、膝を進め、腰を回して下半身の動きと連動した操作を行います。上半身だけで行うと、小手先の動きとなり、相手の体幹部には届きません。
突き込むとき、斬り下ろすとき、すべて同様です。

この操作が身についてくると、どの技においても全身の連動が効くようになります。
稽古を重ねて、古武術的な体の使いかたを修得しましょう。
其の二百三十四、一カ条居捕抱締 大東流合気柔術 東京稽古会 
両手で首を絞められたときの対処法の一つを解説していきます。
大東流合気柔術では双方が座った状態で行う技術の体系を居捕(いどり)と呼んでいますが、これは居捕の「抱締(だきじめ)」と呼ばれる形です。
動画を見てください。
受け手の攻撃は衣紋締です。
奥襟と前襟をつかんで頸動脈を絞めてきますので、捕り手はすかさず顎を挟んでブロックしてください。
形の稽古とはいえ、油断していると本当に血流が止まってしまいます。
非常に危険ですので、真剣な態度で取り組んでくださいね。

次に相手の攻撃線を外すように捌きます。同時に内側の膝を立てて当身を打ってください。この操作で相手の腕を攻め、体勢を崩しましょう。
相手が崩れたら、腕を柔らかく伸ばし、遠いほうの肩に当てます。
この時、私は若干ですが真下に沈み込むようにしています。

相手との対格差や、崩れ方の違いなどに応じて動きは変わりますから一概には言えないのですが、相手を引き込んで腰を伸ばしてしまうことが、この一連の操作の目標だと思ってください。
引き込む、と言いましたが、これは決して相手を引っ張ることではありません。
また同様に、伸ばした腕で相手を押し込んでも効果はありません。
大事なことは相手の体勢を崩すことです。

そのために、伸ばした腕、掴まれた襟首、さらに自分の腕と接触している相手の肘のあたりの3点でバランスを取り、張りを作ります。
これが出来ると、相手は力の逃がし場所を失って、腰を伸ばされてしまうんですね。
こうなれば、相手は自分の膝だけで重みを支えている状態です。
体を開いて真下に投げ落とします。

この時に相手の腕を自分の腹に引き付けるように抱き込みます。
これが「抱締」の名の由来です、と言いたいのですがこれは定かではありません

複雑ですが、柔術らしい動きです。一緒に稽古してみませんか?
其の二百二十四、一カ条居捕車倒 大東流合気柔術 東京稽古会 
一カ条居捕の3回目、今回は車倒(くるまだおし)です。
大東流合気柔術では同じ崩しかたを居捕と立合の両方で行う場合があります。
この車倒もその一つですが、立合よりも居捕の方が格段に難易度が高くなります。
動画を見てください。
双方座った状態から、受け手が横面打で攻撃してきます。
捕る側は相手に正対するように膝行して捌き、相手の横面を受けつつ中段突きで当身を打ちます。
この一連の操作の中で重要なのが、相手の下に入る、ということ。
これまで一本捕、逆腕捕を解説してきましたが、あえてその中で言わなかったのですが、居捕においても立合と同じく、低い姿勢で相手の重心の下に入る動きが必要となります。

ところが見ての通り、居捕では正座(跪坐)のまま技を行っていますから、立ち合いの時のように低い体勢をとることが簡単ではないんですね。
また、相手より低くなろうと前傾して体勢を崩してしまうことになりがちですが、あくまでも腰の上に上体を乗せていなければなりません。
ここは大東流でも肝になる部分といえます。その部分については自主稽古で行っている合気上や基本稽古などで継続して修練していかなくてはいけません。

長くなりましたが、続けます。
相手の重心の下に入ったら、立合と同じように相手を乗せ、崩します。受け手の腰が浮くような形になったら、上出来です。

膝行してまずは横に崩します。腕の力で振り回すのではなく、全身を一つにして操作して下さい。
さらに受け手の側面に膝行して、手刀を斬り下げるように倒します。
何度も同じことを言うようですが、上体の力だけを使わずに、全身の連動を意識してください。

形の習得は最初から上手くいくわけではなく、様々な動きを修練する中で、徐々に正解に近づいて来るものです。
東京稽古会で、稽古していきましょう!
其の二百二十三、一カ条居捕逆腕捕 大東流合気柔術 東京稽古会 
大東流合気柔術の一カ条、居捕の二回目です。
今回は逆腕捕を解説していきます。
前回の一本捕でも言ったように、居捕では膝をついて座った状態で行うため、上体だけで技をかけてしまいがちです。だからこそ重心の位置を移動させることを意識的に行う必要があります。
動画を見ましょうか。
胸を掴んできた受け手の攻撃線を外側に捌いて外します。
立合と同じく、受け手の肘に手刀を当て、膝行します。
大きく動く必要はありません。相手の肩がわずかでも内側に折り込まれることで、次の攻撃を防ぐことは可能です。

続いて、大きく踏み込んで当身を打ちます。
下から突き上げるように伸ばした拳を、さらに振り下ろすようにして中心を打ちましょう。

この当身も、顔面を打って痛みを与える狙いではなく、いかに相手の腰を大きく崩すかというところにその主眼があります。
どんなにパンチがクリーンに当たっても、相手の腰が生きていたら意味がありませんよ。
そのために、こちらの踏み込みと、それによって重心を前に出すことで受け手に大きな力が伝わっているかどうかが重要になります。

相手が崩れたら、胸を掴んでいる手首を逆腕にとります。この時に肘に当てた手刀が緩んでしまいがちです。
どんなに腰を崩しても、この肘を制した圧力がなくなってしまうと、受け手は再び生き返ります。稽古するときには、この点を十分に意識してくださいね。
手首を逆腕に取った手と、肘に当てた手刀を体の中心に置いたまま、腰を切ります。
上半身だけでなく、必ず足を同時に動かすように。
身体全体を連動させることで、無理なく相手を制していくことができます。

膝行して、相手を腹ばいにさせたら、固めに入ります。
逆腕に取った手首にこだわって力みかえる必要はありません。正しく逆腕に取れていれば、腕を地面に密着させる過程でしっかりと極まっていきますから。
固め方そのものは前回一本捕で解説したことと同じです。
最後まで逆腕に取った手首を緩めないことだけが違う部分です。

座ったままで、足を動かし、重心を移動させる。ここが大事ですよ。
東京稽古会では、一カ条の基本技能を丁寧に指導しています。
参加してみたい方は、上のメールフォームからお問い合わせくださいね!