東京稽古会への入会について
通常稽古は毎週木曜・日曜(または祝日)の2回行っています。通常稽古は会員限定です。
入会希望者が参加可能な本稽古は 6月26日(日)14時00分から17時00分まで開催します。
場所は 世田谷区総合運動場 体育館 第一武道場です。
東京稽古会への入会を希望される方は 左のメールフォームよりお問い合わせください。
入会希望者が参加可能な本稽古は 6月26日(日)14時00分から17時00分まで開催します。
場所は 世田谷区総合運動場 体育館 第一武道場です。
東京稽古会への入会を希望される方は 左のメールフォームよりお問い合わせください。
其の三百八十 帯落 大東流合気柔術 東京稽古会 
大東流合気柔術 初伝一カ条の形「帯落」。
今日はこの技術の解説を通じて、見た目と実体の間には必ず隔たりが存在するという態度で物事を見る大切さについて述べて見たい。

この形は比較的初心者のうちに出会う技でもあって、一見複雑に見える操作法に戸惑う修行者も多いことと思う。
また、帯をつかんで背骨を折りにかかるようなダイナミックな見た目から、大技であるというような印象を強く持つことも想像に難くない。
しかし、その印象にとどまればとどまるほど習得するのには時間がかかる。
もちろん、短期間に習得することだけが目的ではないので、試行錯誤の上に技の本質を発見することにも意味はあるが、その時であっても、自分が見ているものに囚われないことを目指すべきだと考える。

単刀直入に言うと、この技は「相手につかませておく」ことで成立している。
首を絞めに来た相手(受け)が無力化するとき、受けは「首をつかませられている」のだ。

技を修練し始めのころは、技をかける側(捕り手)が腕を伸ばし、相手の顎を押し返しているように見えるだろう。
そうではなく、腕を伸ばし、自分の身体を沈め、そして腰を切って攻めあがる一連動作は、相手がつかんだ手を離せないようにするためのものなのだ。
攻撃者と見えたものが、実際にはそうせざるを得ない状況に陥っている実態を、傍観している第三者は知りえない。

見た目と実体の間には必ず隔たりがある。
しかし我々は、一見の理解で足りたとし、思考停止してしまいがちではないだろうか。
少なくとも、実態というものを傍目から理解できたように思い込んでしまうことは危険なのだと、心にとどめたい。
自戒を込めて。
其の三百四十七 抱締 大東流合気柔術 東京稽古会 
これまで「腕の反し」という要素を数回にわたって取り上げてきた。
腕を反転させることがその外見上の動きとなるが、ただそれだけでは効力を発揮できない。

今回は、大東流合気柔術の一つの型である「抱締捕」を通して、「腕の反し」という思考法を掘り下げてみた。
相手が両腕を使って頸動脈を締めに来る。
衣紋締めという攻撃法であるが、稽古とは言え頭部への血流が止まると、数秒で意識が失われる。
上級者の適切な指導の下に修練を行ってほしい。

具体的には顎を引き、相手の小手が頸動脈を圧迫するのを防ぐことが必須となるので、特に初心者にはこの点を強調して伝えなければならない。

首を絞めに来る相手は、当然優位な立場でこちらを無力化しようと図るのであるが、それに対して遮二無二振りほどこうとしても不利な状態からは抜け出せない。
「腕の反し」は腕の柔らかい伸展をもって力を発揮するが、それは上半身の力のみで打開することを意味しない。

むしろ、接点である腕から遠い腰~下半身から来る力によって相手はなすすべなく崩される。
合気柔術ならではのこうした術理は、稽古を積み重ねていくことをもって漸く会得できる。確信と謙虚さを二つながらに携えて精進していきたい。
其の三百四十二 腰車 大東流合気柔術 東京稽古会 
害意をもって攻撃してきた相手を、こちらの意図通りに動かすという思考法について、前回に引き続き考察してみたい。

相手の攻撃を一瞬受け入れるように感覚させながら、その意思を循環させるように返報していく。
そのような思考法が大東流合気柔術の術理に含まれていると仮説をたてた。
今回の動き「腰車」は首を絞めてきた相手の上半身を自らの腰に乗せ、大きく体勢を崩させたのちに投げ落とす。

動画にあるように、肘を曲げて小手を首に押し付け、前襟を締めることで頭部への血流を止めることを目的とする攻撃に対して、もがくようにその腕をほどこうとするのは、効果的ではない。

むしろ首を絞める行為を「させておいて」こちらは手刀を軽く肘に当て、腰(体幹)の動きを伝えることによって相手の前がかりの体勢を「利用し」崩していく。

どの局面においても、屈筋による力任せの動きは使わない。
こうした形の中に、日常生活にも通じる人間関係への対応力の涵養を見出すのも、古武術修行の一環である。
其の三百七 千鳥で張る 大東流合気柔術 東京稽古会 
この数回にわたって当身で張りを作り、相手の筋肉を伸ばして動けなくする操作法を積み上げてきた。

今回の「帯落」という形は、それらの技術を複合的に組み合わせて使う、いわば集合体のようなもの。
ひとつ一つを確認しながら修練してもらいたい。
衣紋締といって、小手と前襟を使って頸動脈を締めてくる攻撃方法だが、このように首を締められることが実際に起こるとは考えづらい。
現実には当然、締め込まれる前に対処をするはずなので、やはりこれは形の修練のために拵えられたものと割り切って稽古する。
ただ、この体勢で鍛錬を積むことで実際に流動的になった動きの中でも最適に対処する感覚を養成できることを忘れないでほしい。

形稽古は、格闘技の実戦諸派からはややもすると無意味であると捉えられることも多く、またそれは一面真実でもあるのだが、定型化した攻撃と、流動的なそれとを織り交ぜて稽古することで、欠点を補いつつ、動きの精度を高められる効用もあるということを強調しておきたい。

帯落については、動画で触れられている身体操作を是非研究してもらいたいのだが、ここでは「千鳥足」が生む複合的な動きの利点を話しておきたい。
初動で当身を打って相手の体勢を崩しつつ張りを作る。
これまでに語ってきたことの延長線上にある考え方なのだが、そこにさらに加味される崩しの技術がある。

それは千鳥足によって沈み、相手の重心を乗せてしまうという思考法である。
両手取や正面打を受けて相手の重心の下に入ることは比較的容易ではあるが、首を絞められた状態で腰を効かせ、なおかつ自分の軸に相手を乗せ、さらに腕の張りを使って相手の筋肉を伸ばすのだ。

千鳥足の一挙動で幾重もの罠を相手の身体に施し、無力化してしまう。
この天才的ともいえる発想が武田惣角という武術家の凄味であると思わざるを得ない。
また、こうした思考法の一端を100年あまりを経た現在においても追体験できる素地を継承してくれた先達にも感謝と敬意の念を抱くほかない。
其の二百三十四、一カ条居捕抱締 大東流合気柔術 東京稽古会 
両手で首を絞められたときの対処法の一つを解説していきます。
大東流合気柔術では双方が座った状態で行う技術の体系を居捕(いどり)と呼んでいますが、これは居捕の「抱締(だきじめ)」と呼ばれる形です。
動画を見てください。
受け手の攻撃は衣紋締です。
奥襟と前襟をつかんで頸動脈を絞めてきますので、捕り手はすかさず顎を挟んでブロックしてください。
形の稽古とはいえ、油断していると本当に血流が止まってしまいます。
非常に危険ですので、真剣な態度で取り組んでくださいね。

次に相手の攻撃線を外すように捌きます。同時に内側の膝を立てて当身を打ってください。この操作で相手の腕を攻め、体勢を崩しましょう。
相手が崩れたら、腕を柔らかく伸ばし、遠いほうの肩に当てます。
この時、私は若干ですが真下に沈み込むようにしています。

相手との対格差や、崩れ方の違いなどに応じて動きは変わりますから一概には言えないのですが、相手を引き込んで腰を伸ばしてしまうことが、この一連の操作の目標だと思ってください。
引き込む、と言いましたが、これは決して相手を引っ張ることではありません。
また同様に、伸ばした腕で相手を押し込んでも効果はありません。
大事なことは相手の体勢を崩すことです。

そのために、伸ばした腕、掴まれた襟首、さらに自分の腕と接触している相手の肘のあたりの3点でバランスを取り、張りを作ります。
これが出来ると、相手は力の逃がし場所を失って、腰を伸ばされてしまうんですね。
こうなれば、相手は自分の膝だけで重みを支えている状態です。
体を開いて真下に投げ落とします。

この時に相手の腕を自分の腹に引き付けるように抱き込みます。
これが「抱締」の名の由来です、と言いたいのですがこれは定かではありません

複雑ですが、柔術らしい動きです。一緒に稽古してみませんか?