東京稽古会への入会について
通常稽古は毎週木曜・日曜(または祝日)の2回行っています。通常稽古は会員限定です。
入会希望者が参加可能な本稽古は 5月22日(日)14時30分から17時30分まで開催します。
場所は 神道扶桑教太祠 本殿 です。
東京稽古会への入会を希望される方は 左のメールフォームよりお問い合わせください。
入会希望者が参加可能な本稽古は 5月22日(日)14時30分から17時30分まで開催します。
場所は 神道扶桑教太祠 本殿 です。
東京稽古会への入会を希望される方は 左のメールフォームよりお問い合わせください。
其の三百八十二 痴漢から逃げる 大東流合気柔術 東京稽古会 
【動画を公開しているYouTubeでのチャンネル登録者数が4月末に1万人を超え、現在2万人に迫ろうとする勢いです。
東京稽古会では今後も日本古武術の継承発展を目標に研鑽を続けていきますので変わらず御支援をよろしくお願いいたします】
今回は少し毛色の変わった動画の内容について若干解説を加えたい。
女性や、力の比較的弱い人のための護身術、というようなつもりで作った動画だが、案外古武術の面目をよく表している。

後ろから抱きつかれた場合に、これを手の力で引きはがそうとしても決して逃れられない。
腕を固定して、体全体の力を伝えるように相手に密着し、腰を回す。
こうすることで相手の腕はかなり容易に動く。
そこに出来た隙間から、後ろに抜けていくという設計になっている。

これは大東流合気柔術 二ヶ条後捕の逆小手という形を応用した動きだが、手先の力を使わず、腕を脱力して体幹部分と一体化する操作を抽出すると、簡易的な護身術となる。

さらには、攻撃を受けている相手の身体にくっつくように密着するというところが古武術的であって面白い。

とはいえ、実際にこのような仕儀に陥ってしまった場合、修練を積んでいない女性などはまず精神的に平常ではいられないことと思う。その意味でも、武術的な素養や訓練をお勧めしたいというのが、今回の動画の本旨でもある。
其の三百六十五 つかませる 大東流合気柔術 東京稽古会 
大東流合気柔術は弱者のための技であると聞いたことがある。

相手が武器を持っていてこちらが帯刀していないとき。
自らが傷つき、身体が十分に動かないとき、その本質的な有効性が発揮されるという謂いだ。
人は生き物であるから、必ず年老いる。加齢すれば筋力は落ち、スピードは鈍る。

無論、武術において必要なのは身体機能のみではない。
だからこそ瞬間的な力の大きさと速さに依拠しない戦略をとるのだ。

今回の動画で紹介した技法。
後からの攻撃に対して、全身を「一つの塊にする」ことによって相手を制していく動きも、そうした「弱者としての戦略」から派生した問題の打開法であるように私には思える。

全身を一つの塊にする、というこの思考法は底知れない深みをもって我々修行者の前に存在する。
長い時間をかけ、その頂を目指す修練の道を進むのだ。
其の三百四十六 反して投げる 大東流合気柔術 東京稽古会 
不意に視界の外から悪意ある攻撃を受けたとき、平常心で対処すればそれを切り抜けられるか、否か?
今回は古武術の思考法でそうした問いに答える試みである。

動画で取り上げた操作は、前回解説した「腕の反し」を使って相手を腰の動きに乗せて投げ倒すもの。
肩から先に力がこもってしまうと相手は全く動かない。
正しく脱力し、相手に十分手刀を掴ませたまま、自分は骨盤の上にまっすぐに乗って動くことで力を伝えていく。

冒頭の問いに武術的に答えるなら、可である。
平常心、自然体をもって、攻撃を受けた個所にこだわらず、自分の体幹からの力を発揮すること。
それによって攻撃してきた相手を制することは、出来る。

さて、この思考法を日常に置き換えてみる。
不意の災害が発生した場合。あるいは偶然の大きな事故で危急の状態に陥った場合。
この時に、取り乱すことなく、粛々と普段の訓練通りに動き遂せることが出来る人は、強い。
そしてそうした人が多いほど、その集団は生き残る確率が高い。

大東流合気柔術は古流の体術であるが、そこに現代を包摂する普遍性がある。
我々修行者は、その境地を目指して日々の稽古に取り組んでいることを、忘れてはならないだろう。
其の三百三十五 両肩捻 大東流合気柔術 東京稽古会 
後から掴みかかられたとき、まったく手を触れずに投げ飛ばす。
大東流の後捕「両肩捻」という形である。

「まったく手を触れず」という表現をしたが、実はこの「手を触れない」というところにこの技の真髄が含まれる。
相手の掴み手は両肩である。これを後ろから強く保持している。
対してこちらは上体を脱力し、骨盤にまっすぐ上体を乗せた姿勢をとる。

このまま後ろ向きに身体を転換させる。この時に先ほど構えた姿勢を維持することが重要だ。

相手は強くつかんだ手を離すことが出来ず、こちらの体幹の作用をまともに受けて、大きく崩される。
こちらの手、つまり末端部分で操作しない代わりに、もっとも強力な体幹の力を使えるのだ。

いかにして腰の回転力を相手に伝えるかという点が問われるが、その際に「千鳥足」の捌きを使う。
「千鳥足」についてはこのブログでも再三取り上げているので、そちらも参考にしてみていただきたい。

其の三百十六 縦の意識 大東流合気柔術 東京稽古会 
大東流合気柔術の「一本捕」は、初級者が初めに取り組む型だが、そこには古武術の要素がふんだんに含まれている。
シンプルだが、探求すればするほど奥深い技術が必要になる技だ。

「一本捕」の「一本」とは何を指すかとよく言われるが、これもまた多種多様な答えができる。
受け手の腕を一本に伸ばして制することから、という考え方もあれば、自分の重心を一本の足に乗せて崩すので、という説もある。
どれが正しく、どれが間違いということはなく、術者の習熟度に合わせて何を「一本」ととらえるかは変化していっていい。

今回の動きは、この一本捕を後ろから腕をつかまれたときの対処法として使っている。
自分の手刀を縦に上下させることで、相手の抵抗を受けずに肩を反し、肘を制する。

振り返りざまに肘を取り、腕の自由を奪うためには、相手がこちらに対して力を出せない状態にする必要がある。
そのために、この縦の動き、つまり自分の身体の中心で手刀を使う操作法が効果を発揮する。

どのような状態で攻撃を受けたとしても、その対処法にある要素には共通性がある。
後捕もまた、一本捕の奥深さを知るには、よい鍛錬法と言える。