扶桑会について
指導者: 石塚嘉 【達人・名人・秘伝の師範たち】
稽古日時:日曜14時半~16時半 / 木曜19時~21時
稽古場所:神道扶桑教 世田谷太祠 東京都世田谷区松原1丁目7−20 【道場紹介】
入会希望者が参加可能な公開稽古は 6月25日(日)12時30分から14時30分まで開催します。
場所は 世田谷区総合運動場 体育館 第一武道場です。
扶桑会への入会を希望される方は 左のメールフォームよりお問い合わせください。
【関連商品】扶桑会DVD「柔(やわら)の力の完成」←Amazonへリンク
稽古日時:日曜14時半~16時半 / 木曜19時~21時
稽古場所:神道扶桑教 世田谷太祠 東京都世田谷区松原1丁目7−20 【道場紹介】
入会希望者が参加可能な公開稽古は 6月25日(日)12時30分から14時30分まで開催します。
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其の二百八十九 四方投表 独習法 大東流合気柔術 東京稽古会 
東京稽古会では、自宅で出来る稽古法として、体幹トレーニングや木刀を使っての基本動作・形の鍛錬を取り入れています。
活動自粛期間中はそれぞれの自宅をオンラインで結んでの稽古ですが、2か月近く継続することで古武術の身体感覚を失わずに過ごすことが出来ていると思います。

今回は、大東流合気柔術でも代表的な形である四方投の動きをひとりで修練する体操法です。オンラインでの自宅稽古でも行っているものです。
前回、前々回取り上げた一本捕、逆腕捕と同じく、剣(短刀)を使うことで、大きな効果を生みます。
動画を見てみましょう。
短刀を使って行うこの鍛錬では、相手に剣を向け、自分の腰の力を剣を通じて伝えることを意識することが重要です。
両手首を掴まれたと仮定して、短刀を相手の喉元を突き上げるように立てます。
この時に腕の力を使って剣を持ち上げるようにするのではなく、身体全体の力を剣に集約するような操作をします。

このあとのすべての動きに共通する考え方ですが、肩から先の腕を動かして短刀を操作しては、この鍛練の効果は出ません。
腕を脱力し、腰を中心に動いていくようにしてください。

外側に踏み込み、内側の足を寄せ足。さらに内側の足で相手の裏に踏み込んだら、木刀を額の前に斬り上げて、180度体を転換します。
この間、短刀の刃は常に相手に向けて斬り込んでいるという意識を継続させます。

さらに、腰と連動させるために短刀を自分の中心軸上で構えることが重要です。
一人稽古ですが、実際に手をとられたときの重みを仮想し、感じながら修練することで、実際に相手をつけたときにも通用する身体の動きをつかんでいきましょう。

また、相手を付けずに稽古することのメリットとしては、抵抗を受けないことで姿勢を正しく保った状態で動けることです。骨盤の上に上体をまっすぐのせ、常に重力を垂直に感じながら操作しましょう。

脱力と、姿勢。古武術において非常に重要な感覚の養成に役立ててください。
次回は同じ四方投の裏を取り上げる予定です。
其の二百八十八 逆腕捕独習法 大東流合気柔術 東京稽古会 
東京稽古会が行っている、一人でもできる古武術の修練法を紹介しています。

今回は、逆腕捕をマスターするための要素を織り込んだ体操です。前回の一本捕と同じように、短刀を使うことで、その効果が高まります。

ひとりで行う体操ではありますが、相手を想定しながら行うことで、古武術全般に応用の効く身体の動きを練り込んで行きます。
また、相対稽古とは違って抵抗がないので、力を入れずに正しい操作の道筋を反復できることもメリットの一つと考えられます。
では、さっそく動画を見てください。
1、相手が胸倉をつかんできたことを想定して、攻撃線を外しつつ、相手の肘に手刀を当て制します。
2、短刀を持った腕を、前方に伸ばし当身を入れます。この時、腕だけを伸ばすのではなく、全身で前に出る意識で行います。
さらに肘に当てた手刀と、伸ばした短刀は一直線に並ぶように操作してください。これで相手の肩が詰まり、抵抗が出来なくなります。

3、胸をつかんでいる相手の手首を逆腕捕の掴み方で握ります。
小指を小指丘に引っかけ、親指の外側を包むように握ります。
これは、小指丘側を刃とし、親指側を峰と考えたとき、刀の柄を握り込んだ時の手の形と同様です。
つまり、短刀の柄の部分が相手の手であると仮想できるんですね。

4、この状態で、相手の手首を斬り上げます。
重心を移動させ、足を踏み込みながら短刀を操作しましょう。
同時に肘に当てた手刀も連動させてください。一人稽古ですが、相手の腕を操作していることを忘れずに行います。
5、短刀を斬り下げて、鼠径部(腰骨の下)に付けます。
この時も4と同様に両腕を連動させます。
相対稽古ではこの操作で相手の身体が崩れ、倒れます。

6、腰に短刀をつけたまま、身体を開きます。
相対稽古においては相手の肩がさらに地面近くに落ち、バランスが崩れます。
7、相手の脇に膝をつけるつもりで足を動かし、さらに脚幅を開いてスタンスを取ります。
身体を前傾させずに、相手を支えるためです。上半身は骨盤の上にまっすぐ乗せたままにしてください。

8、腰を相手に向けて切ります。
短刀はしっかりと腰骨につけたままです。この操作で全身を使って相手の身体を極めます。
9、肘をつかんでいた(と想定していた)手刀を外して、とどめを打ちます。

10、残心しながら、元の位置に戻り、自然体に。
動画の中でも言っていますが、これはあくまでも一人で行うためにアレンジした体操法です。
大東流の形としては、最終的には流れるように、一筆書きで相手を制するところを理想としますので、この細切れに動きを止めるやりかたは、あくまでも考え方の整理としてとらえてください。

ただ、こうして要点を意識化することで、あらためて技の理合いが見えてくることもあります。
特に短刀を使って、力の道筋を視覚化することは非常に有効な稽古法です。
ひとりで行う稽古の一環として活用することをお勧めします。
また、東京稽古会の自宅稽古では、初めに体幹トレーニングを行います。
以前このブログでも紹介した、
ストレッチ http://kobujutsu.jp/blog-entry-333.html
体軸バランス http://kobujutsu.jp/blog-entry-334.html
体幹トレーニング http://kobujutsu.jp/blog-entry-335.html
この三種を組み合わせることで古武術に必要な身体感覚を養成します。
脱力、軸の感覚、深層筋の活用など、古武術の動きに対してもメリットが大きい鍛錬法ですので、ぜひ取り入れてみてください。
其の二百八十七 一本捕独習法 大東流合気柔術 東京稽古会 
今回は、大東流のエッセンスの詰まった「一本捕」を、一人でも修練できる体操法の紹介です。

この体操法は、短刀を使うことで、大東流の基本動作や、考え方を無理なく習得していくことができます。
また、以前紹介した体幹トレーニングを併用することで、さらにその効果が相乗的に上がります。

東京稽古会ではすでに、この体操法を取り入れた自宅稽古を、オンライン上で継続して行っています。
それでは、動画を見てみましょう。
この体操法の核心部分は短刀を使用することです。「剣の理合」が大東流の重要思想ですが、剣の向き、全身の連動による操作、体軸に剣の動きを乗せることで重心移動をはかる、など、剣を使うことで様々なメリットが生じます。
剣を持ち、相手が実際に目の前にいると仮想して修練しましょう。

順を追って説明します。
1、相手の正面打ちを、短剣で受けます。鞘から抜くような意識で、刃を上に向けて斬り上げてください。
この時に相手の攻撃線をわずかに外すようにしてみると、さらに精度が上がります。
ただし初心者は、まずは剣を使う意識を中心にしてみましょう。

2、次に剣を持っていない方の手で相手の肘をつかみます。この時に手だけを出すのではなく、足を動かし、腰と一緒に腕を出しましょう。
いわゆるなんばの動きを意識します。
3、相手の手刀を斬り上げた短刀を腰に構え、前に突き出します。実際の形においては当身を打つところです。
ここも同じく、なんばの動きを意識して腰と同時に突きます。身体の軸の上に剣が乗り、重心が移動していることを確認しながら行いましょう。

4、突き出した短刀を鞘に戻し、そこから再び相手の手首めがけて斬り上げます。
ここで重要なことは剣の刃が相手の方を向いていることです。
また、腕だけを伸ばして姿勢が崩れると、力が伝わりません。
重心を移動させ、骨盤の上にまっすぐ乗った状態で剣を操作してください。
5、手首に当てた短刀、肘を押さえている手刀を、同時に動かして相手の腕を斬り落とします。
短刀が自分の鼠径部(腰骨のやや下あたり)にピタリとつけられているかどうかが重要です。

6、鼠径部に短刀をつけたまま、腰を開きます。
こうすることで相手の肩が落ち、さらに崩れが大きくなります。
腕で引っ張り落とすのではなく、腰の動きで操作する感覚をもって下さい。
7、相手の脇に膝をつけるように、足を出します。
さらに歩幅を開いて身体を安定させます。前かがみにならないように、しっかりと胸を張りましょう。
正しい姿勢を維持することは、全般にわたって意識すべきところです。

8、腰につけた短刀の切っ先を相手の中心に向けるように、腰を切ります。
9、肘を押さえたまま、短刀を使ってとどめを打ちます。
10、残心を取りながら、元の位置に戻って自然体を作ります。
以上が、一本捕の一人稽古法です。

短刀は通信販売で1500円程度で入手できます。
どうしても購入できないという人は、直定規等でも代用できます。刃と峰の区別がつくものでやってみるといいでしょう。
次回は、逆腕捕の独習法を紹介します。
其の二百八十六、自宅稽古 大東流合気柔術 東京稽古会 
東京稽古会では、一か所に集まっての稽古が出来ないこの期間、各自宅をオンラインで結んで、鍛錬を行っています。
週に3回の一人稽古ですが、大勢が一緒に行うことで意欲がわきます。
規則的に運動することで、生活にリズムも出ます。
初めての試みですが、数週間が経ち、うまく軌道に乗ってきました。
今日はその様子を紹介します。
自宅稽古では、初めに体幹トレーニングを行います。

以前このブログでも紹介した、
ストレッチ http://kobujutsu.jp/blog-entry-333.html
体軸バランス http://kobujutsu.jp/blog-entry-334.html
体幹トレーニング http://kobujutsu.jp/blog-entry-335.html
この三種を組み合わせることで古武術に必要な身体感覚を養成します。
脱力、軸の感覚、深層筋の活用など、古武術の動きに対してもメリットが大きい鍛錬法ですので、ぜひ取り入れてみてください。

そして、一本捕、逆腕捕といった型の動きを単独で修練できるよう、東京稽古会独自に体操法を考案して、行っています。
剣の動きを意識して操作を行うことで、身体の連動、中心の感覚、重心の移動…諸々の基本動作を反復練習します。
大東流合気柔術の稽古は通常、相対稽古といって、相手と向かい合って行うものです。
ただ、今回のようにいろいろな事情があって相対稽古が出来ない場合も起こり得ますよね。

工夫して、出来ることを見出す。
それもまた、古武術的な発想法です。
楽しんで、この時期を乗り越えましょう!
其の二百八十二 富士山大賞演武 大東流合気柔術 東京稽古会 
去る2月8日に日本橋公会堂にて開催された富士山大賞での演武展示の様子を公開します。
其の二百八十一、体幹トレーニング 大東流合気柔術 
大東流合気柔術 東京稽古会の鍛錬法を3回にわたって紹介しています。
今回は<体幹トレーニング>です。

脱力した状態で、大きなパワーを生み出すことのできる体幹の筋肉。
体幹を鍛錬することで、古武術に必要な小手先の筋肉に頼らない動きを手に入れることができます。
また、インナーマッスルを使うことで、効率的で疲れの少ない身体運用が可能になります。
では、動画を見てください。
【※正しいフォームを取らないと、トレーニングの効果は上がりません。最初は鏡を見たり、誰かにチェックしてもらうのが良いでしょう】

①クランチ(腹直筋)
仰向けに寝る。両膝を立て、腕を体の脇に伸ばします。掌は下向きです。
ドローインして、へそを覗き込むように上体を起こします。
肩甲骨が床から離れる程度にしてください。

起き上がる時に腕を使わず、腕は床と平行になるように肩と一緒に浮かせます。
ゆっくり持ち上げ、同じ速度で戻します。5~8回を1セット。2~3セット行いましょう。

②クロスクランチ(腹直筋、腹斜筋)
仰向けに寝た状態で右膝を立て、左の手を頭の後ろに回します。
ドローインして、右膝からつま先までを床と平行に伸ばし、右膝の外側と左ひじの外側が触れるまで、上体と足を引き上げてください。

ゆっくり引き上げ、同じ速度で戻します。
足の角度を床と平行に保ってください。
息を止めず、呼吸をしながら行いましょう。引き上げるときに吐き、伸ばすときに吸います。
5~8回を1セット。2~3セット行いましょう。手足を変えて同じ動きをおこないます。

③フロントブリッジ(腹直筋)
うつぶせの状態から、肩幅に肘を突き、骨盤幅につま先をついて身体を持ち上げます。
ドローインして、頭の先から尾てい骨までが一直線になるようにお尻を引き上げます。
ゆっくりと引き上げて、同じ速度で戻します。

肘や足の筋肉を使わず、骨盤周りの力を意識して行います。
また、お尻や頭が上がりすぎたり、下がりすぎたりしていては効果はありません。正しいフォームで行ってください。
5~8回を1セットとして2~3セット行います。

④サイドブリッジ(腹斜筋)
横に寝た状態から、肩の真下に肘を突き、上体を持ち上げます。

ドローインして、頭の先から腰までが床と平行になるように腰を引き上げてください。
この時、上から見ても頭から足先までが一直線になるようにフォームを取ります。
ゆっくりと引き上げて、同じ速度で戻しましょう。
頭が前に出たり、腰が後ろに出たりしがちなので、気を付けてください。
胸を張り、骨盤と上体がまっすぐになっていることをイメージしましょう。

肘の力で持ち上げようとするのではなく、脇腹のあたりを意識して使います。
上手くできない人は肘を肩のやや内側につくと、やりやすくなるでしょう。
方向を変えて同様に。5~8回を1セットとして2~3セット行います。

⑤ダイアゴナル(脊柱起立筋)
両手両膝をついた状態で、ドローインします。
右腕と左足を、背中と平行になるように伸ばしてください。
この時、手の指先からかかとまで、横から見たときに一直線になっているように。
また、膝が外側を向きがちですが、まっすぐに引き上げます。

背中が反りすぎると、効果がありません。また、丸くなりすぎても同じです。
テーブルのように、平らに、床と平行になるように調整してください。
背骨の周りの筋肉を意識して使うことが必要です。
ゆっくりと引き上げ、同じ速度で戻しましょう。

古武術に必要な体幹トレーニングを紹介してきました。こうして体幹を鍛錬することで、基礎代謝を上げることができます。
古武術の上達にもつながります。一人でもできる稽古法としてお勧めです。
皆さんも毎日の鍛錬に取り入れてみてください。
其の二百八十、体幹トレーニング(体軸バランス) 大東流合気柔術 
大東流合気柔術 東京稽古会の体幹トレーニング、今回は「体軸バランス」です。
身体の軸を保つことで、ブレない動きが可能になります。正しい姿勢を維持することができるようになると、相手に力を効果的に伝えられます。

重心の移動と、丹田の意識(ドローイン)は、普段の古武術の鍛錬にも役立ちます。
では早速、動画を見てください。
①丹田の意識(ドローイン)
両膝をついて、膝立ちになり、骨盤と上半身の関係性を意識します。
そのまままっすぐに立ち上がり、骨盤の幅に足を開いて立ちます。これが、自然体です。

次に、腹式呼吸で鼻から息を吸いながら丹田(へその下)を膨らませます。口から細く息を吐きながら丹田を背中の方に引き込むように軽くへこませていきます。
背中をそらさず、背中に下腹部を近づけていくような感覚で。
その状態を維持して、呼吸を続けてください。

②開脚バランス
自然体のまま、両手で手刀を作って、骨盤から体側を撫でるようにまっすぐ上に伸ばします。真上から引っ張られるような意識で。
そのままゆっくりと右足に体重を乗せていきます。体軸が右側に移った状態で、左足を浮かせましょう。

左足を外側に引き上げ、元の位置に戻します。この時に上半身がぐらつかないように、骨盤の筋肉を使う意識で、ゆっくりと行いましょう。
これを10回。
ぐらつく場合はドローインを意識します。
反対側も同じように行ってください。

③縦スクワット
自然体から、両足を一直線上に乗せるように縦に並べます。
骨盤が床と平行を保つように意識しながら、エレベーターが上下するように膝を曲げて上体を下げ、さらに膝を伸ばして上体を上げます。

勢いで上下せず、出来るだけゆっくりと重心を感じながら行ってください。
上半身は前や後ろに傾かないように、骨盤の上にまっすぐに乗せたまま行いましょう。
これを10回。
足を入れ替えて、逆側も同様に。

④一本足バランス
自然体から、腕を床と平行になるように上げます。掌は下向き。
右足に重心を乗せ、さらに骨盤を前に倒すように上体を前傾させます。
同時に左足を後ろに上げましょう。

頭の先からかかとまでが一直線になるように、上体と左足を傾け、制止します。
この時、両腕は地面と平行を保ったまま。
軸となる右足の膝は、曲げないでください。
この姿勢で8~10秒。

膝を曲げず、背中を丸めないこと。出来る人は、背中が床と平行になるところまで傾けてもよいでしょう。
どの種目を行う際にも、丹田(ドローイン)を意識してください。

体軸バランスで軸の感覚が出来てくると、普段から美しい姿勢で過ごすことができるようになります。
古武術だけでなく、日常生活にも活かすことのできる体操法として、やってみてもいいですね。
次回は<体幹トレーニング>です。
其の二百七十九、体幹トレーニング(ストレッチ) 大東流合気柔術 
大東流合気柔術 東京稽古会では古武術の身体づくりの一環として体幹トレーニングを取り入れています。
畳一帖あれば出来る、一人でもできる効果の高いトレーニング方法を公開します。

古武術に使える体幹トレーニングは三本の柱を組み合わせて行います。
1)ストレッチ:全身の血流を循環させる。鍛錬の準備をする。
2)体軸バランス:体軸の感覚、正しい姿勢の意識を高める。
3)体幹トレーニング:体幹の筋肉を鍛える。
この三つを15~20分ほどかけて行います。
それでは、動画を見てください。
ストレッチだけでなく、体幹トレーニング全般に言えることですが、正しい姿勢で行うことが重要です。ポイントは、骨盤と上体の関係性。
お盆の上にコップを乗せているところを想像してください。お盆が骨盤、コップが上半身です。

骨盤が傾けば上半身も同じ関係性で傾きます。これが自然な形です。骨盤と上体は常に自然体の形を意識してください。
ストレッチを正しく行うことで、怪我をしにくい身体の状態を作ることができます。

①体側の筋肉を伸ばす
正座の状態から、膝をついて膝立ちになります。これが骨盤が地面と平行になっている状態。上半身も安定している。肩を落として頭が骨盤の真上に乗るように。
この自然体の感覚を常に持つことが大事です。
両手を上に上げる。指先まで柔らかく伸ばして、真上に引き上げられるようなイメージで。

手刀の刃の部分を前に向ける。
右手の四本の指先を、左手の小指球に引っかける。強く掴んではいけません。
そのまま右腕の重みを乗せるように体を傾けます。引っ張るのではなく、重みに従うように。
伸ばしたら、脱力して呼吸します。8~10秒。息を止めないように。
骨盤は地面と平衡を保ったまま。

手刀の意識を持つことで、柔らかく体を伸ばす動きが出来てきます。
この体幹トレーニングを古武術に活かすことができるメリットがそこにあります。
古武術の、「芯を作って脱力する」意識の鍛錬にもつながるんですね。身体をフニャフニャにするのではなく、張りは残したまま、力を抜くイメージをもってやってみてください。

②首から肩周りの筋肉を伸ばす
頭の後ろで両手を組んで重みをかけ、首を前に倒します。首肩回りの筋肉が伸びたら、脱力。
呼吸をしながら、さらに筋肉が伸びていることを感じる。8~10秒。
脱力しても伸びが弱い場合は、まだ力が入っていると考える。
骨盤は地面と平行に。腰から曲げるのではなく、肩甲骨の下あたりから前に倒す意識で。

③お尻の筋肉を伸ばす(大臀筋)
腰を地面につけて足を延ばす。骨盤は地面と平行に。
左膝の上に右足のくるぶしを乗せ、左膝を立てる。右足のひざ下部分は地面と平行になるように。
右足のひざ下部分に胸を近づけていきます。この時、骨盤と上半身の関係がまっすぐになるように。背中を曲げてはいけません。
右側のお尻の筋肉が伸びたら、脱力。呼吸をしながら8~10秒同じポーズで。

続いて、立てた左膝を外側に倒して、くるぶしをお尻につけます。
右膝と左胸をくっつけるようにすると、再びお尻の筋肉が伸びます。
脱力して呼吸する。8~10秒。同じように反対側の足でも行います。
背中が曲がらないように気をつけましょう。骨盤と上半身の関係性を意識してください。

④股関節を伸ばす(内転筋)
両足の裏をくっつけて、股関節の方に引き込む。この時に座骨が床についていることが望ましいですが、無理はしないでください。
この状態で、太ももの外側を床につけるように足を開きます。
さらに、骨盤を前に倒します。この時、上半身だけを倒すのではなく、骨盤ごと前に傾けていく意識を持ってください。無理をせず、太ももの内側の筋肉が伸びていることを感じられれば良いでしょう。
脱力して、呼吸します。そのまま8~10秒静止してください。

⑤足の後ろ側を伸ばす(腓腹筋、ハムストリングス)
両手両膝を床につけ、右膝のかかとに左足を乗せます。
右足のかかとを地面につけて膝を伸ばし、さらにお尻を引き上げてください。
かかとから尾てい骨までが一直線になるように。同じように頭の先から尾てい骨までもまっすぐに。頭を下げすぎないようにしましょう。
辛い場合は、手を突く位置を膝から離してもかまいません。
脱力して、呼吸。8~10秒。反対の足も同様に行ってください。

⑤骨盤の中を伸ばす(腸腰筋)
正しい姿勢を維持するのに重要な、骨盤の中にある腸腰筋という筋肉の柔軟性を高めます。
右膝を立て、左足を引きます。右足に重心をかけながら、左手をまっすぐに上に伸ばします。手刀の意識を忘れずに。刃を前に、柔らかく指先まで伸ばしてください。
この時、骨盤が床と平行であることを意識してください。また、上半身は骨盤の上にまっすぐ乗るようにしましょう。
左腕を右側に倒します。骨盤は平衡を保ったまま、さらに後ろの壁を見るように右側に上体をひねりましょう。
骨盤の中を意識しながら、脱力。呼吸して9~10秒静止します。反対側も同様に行ってください。

ストレッチは、痛みを感じない程度に、気持ち良いところで伸ばし続けることが大切です。
呼吸をしながら、無理なく行ってください。
次回は<体軸バランス>を紹介します。