扶桑会への入会について
通常稽古は毎週木曜・日曜(または祝日)の2回行っています。通常稽古は会員限定です。
入会希望者が参加可能な本稽古は 2月12日(日)14時から17時まで開催します。
場所は 世田谷区総合運動場 体育館 第一武道場です。
扶桑会への入会を希望される方は 左のメールフォームよりお問い合わせください。
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其の三百八十五 逆襷 大東流合気柔術 東京稽古会 
相手の攻撃に対して自分の体勢を崩さずに応じる動きについて、これまでに何度か解説を加えてきた。
今回の操作法ではその動きから転じて相手を崩すために働きかける。

当然のことながら、攻撃を仕掛けてくる相手も最初から自分が技をかけられて倒されることを前提にしているわけではない。
こちらを圧倒し、制することを期して立ち向かってくるのである。
そういう相手に対して効果的にこちらの力を伝えるために、古武術では脱力の思考法で応じていく。

逆説的に聞こえるだろうが、この逆襷の動きもまさにその思考法を体現したものだ。
中段を突いてくる相手に対し、その攻撃線に沿うように身体を捌く。腰を中心に動いていくことはこれまでに見てきた通りである。

さらに相手の裏に入り身しながら、腕を斜めに巻き付けるように相手の腕と首に伸ばす。
この時に自分の上半身を柔らかく脱力した状態で使えるかが成否を分ける。
腰で捌き、腰を中心に力を発揮する意識が、上半身の筋力を使わない操作につながるのだ。

相手に力を伝えるときこそ、接点ではなく自分の中心を意識する。
思考の転換が必要となるこの動きを、反復修練してほしい。
其の三百五十八 四方投 大東流合気柔術 東京稽古会 
最近の稽古では会員たちが「ぶつかる」「引っかかる」という言葉を使うことが多くなってきた。
これは、私としては喜ばしいことでもある。

なぜなら「ぶつかる」というのは柔らかく動いていくために乗り越えなければならない「壁」が見えている段階に達しているといえるからだ。
初心者にとって、攻撃の意志をもって掴んだり打ちかかったりしてくる相手に対して柔らかく身体を使って対処することなど想像もつかないのが現実だ。

つまり「ぶつからない」「引っかからない」ことを意識できるようになったということは、合気柔術の何たるかを理解しているということにほかならない。

今回の「四方投」は大東流合気柔術においても様々に変化応用できる核心技法であるが、それだけに柔らかい身体操作を要求される動きでもある。
特に相手の手首を捕って体幹部分を動かしていく際には、小手先の力を使って動かした途端に「ぶつかり」「引っかかって」しまう。

そうした感覚をどのようにして乗り越えていくかというところに古武術稽古の真髄がある。
かつそれは修練を積み重ねていくことで必ず乗り越えることが出来る壁でもある。
其の三百五十七 内腕返 大東流合気柔術 東京稽古会 
顔面に殴りかかってきた相手を一挙動で搦め取って投げ返す。
大東流合気柔術らしいダイナミックな操作であるが、これも攻撃線の理解で可能になる。

前回まで、相手の攻撃線に密着するように捌き、あるいは攻撃線を延長させて相手の体勢を崩すことについて見てきた。
取り上げたのは中段突、または短刀取など相手の体幹部分から発せられ、まっすぐ自分の方に向かってくる攻撃だが、そういう時こそ有効になる考え方だ。

その上で今回特筆するのは、「相手の中心に向かって攻める」という要素である。

突きを放った相手の拳を柔らかくつかみ、肘の内側に手を当てて腕を折り込むようにして腰を回転させる。
この時に相手の拳を顔面に向けて折り曲げることで相手は大きく体勢を崩す。

実際に修練した場合に、思ったように腕を折ることが出来ずに難しさを感じるかもしれない。
上半身の脱力と、柔らかい腕の使い方に留意して稽古してほしい。
其の三百五十三 内外に捌く 大東流合気柔術 東京稽古会 
人が自分に殴りかかってくるような状況は普通の人にとってはまれだろう。
特に今の日本の現状においてはそういうことは起こりづらい。

古武術たる大東流合気柔術においてはそうした想定のもとさまざまな対処法を修練するのだが、現代日本でそれを行う意義はどこにあるのか。
私は、自分に向かってくる悪意を単純に回避するだけではなく、その悪意を無力化してしまうことを目的にするというところが、一つの回答だと考えている。

今回の動きで紹介したのは、相手の攻撃の意志に対して遠く離れるのではなく、近づいて密着すること。
相手の攻撃に近寄れば近寄るほど、その攻撃の意志を無力化する確率が高まるということを提示してみた。

とはいうものの、稽古ではやはりある種の約束のもと攻撃が行われる。
ここに示したように動くことが出来るのも、相手の攻撃が予測できるからであって、無限の選択肢に対応するわけではない。
また、現代社会における「攻撃」は、暴力によるものとは限らない。

日常修練を重ねる中で、害意を持った他者との距離感の取り方を学びながら、「約束のない」攻撃に対して自分がどう振舞うことが出来るかを考えてみることも、また必要であろう。
其の三百二十六 沿う 大東流合気柔術 東京稽古会 
相手の攻撃にどう対応するか、古武術における一つの考え方を取り上げる。

大東流合気柔術の思考法として、全身の連動をもって身体操作を行うことで、効率的な力の伝導を行うということがある。
そのために、相手との位置関係を適切にとる必要がある。
相手の攻撃を恐れて、離れすぎてしまっては、即時に次の動きに移れない。
と言って、敵の攻撃線の中にいてはダメージを受けてしまう。刃物や凶器があった場合、命に係わる。

ここで採用するのは、相手の攻撃線に「沿う」という解だ。
中段を打ってきた打突に、密着するように体を捌く。手刀をガイドのように使い、自分の中心を相手に向ける。

そして次の動きに移り、手首を操作して裏に倒すのだが、これも「沿って」いるからこそ瞬時に可能となる。
脱力し、全身の連動で倒すためには、相手との接点が自分に近いところにあるほど有利なのだ。

攻撃に「沿う」という発想はできても、恐怖心もあって、実際にその動きに抵抗が出ることは理解できる。
日々の修練の中で、こうした体捌きに熟達していきたい。