扶桑会について
指導者: 石塚嘉 【達人・名人・秘伝の師範たち】
稽古日時:日曜14時半~16時半 / 木曜19時~21時
稽古場所:神道扶桑教 世田谷太祠 東京都世田谷区松原1丁目7−20 【道場紹介】
入会希望者が参加可能な公開稽古は 3月21日(火・祝)14時から17時まで開催します。
場所は 高津スポーツセンター 第二武道場です。
扶桑会への入会を希望される方は 左のメールフォームよりお問い合わせください。
【関連商品】扶桑会DVD「柔(やわら)の力の完成」←Amazonへリンク
稽古日時:日曜14時半~16時半 / 木曜19時~21時
稽古場所:神道扶桑教 世田谷太祠 東京都世田谷区松原1丁目7−20 【道場紹介】
入会希望者が参加可能な公開稽古は 3月21日(火・祝)14時から17時まで開催します。
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其の四百十三 つかませ続ける 大東流合気柔術東京稽古会 
相手による「掴む」という攻撃は、こちらがそれを利用することで非常に大きな力となって相手に還流していく。
今回は大東流合気柔術の独特な思考法を使って力を伝達していく操作法を紹介する。

一般に公開しているYouTube動画などに対して「何故手を放さないのか?」という疑問のコメントが多くみられるようになってきた。
中には誹謗中傷に近いような内容の声も少なからずある。
それだけ合気系武術を知らない人の目に触れているということだろうから、喜ばしい現象である反面、あまりに一面的なものの見方をぶつけられると辟易してしまうというのも正直なところだ。

攻撃してきた相手が、掴んだり握ったりしている手を容易に放せないのは、まさに「攻撃の意図」を持っているからだ。
技をかける方はその意図にぶつからずに受け入れながらも自分の有利な状況に持ち込んで操作することで、相手の攻撃の意思を継続させたまま力を伝えていく。
いったん動き出した意図を変更し中止するということは、それに対する明らかな反抗や危険を察知しなければ、非常に難しいのだ。

ここで我々術者の側として重要なのは、いかにその相手の「攻撃の意図」をそのままに、ぶつからず、逆らうことなく受け入れていくかということだ。
つまり、相手にしてみれば「掴んだままの状態と思っていたら、倒されていた」という状況を作り出すのだ。

そこには普段の稽古で行っている、脱力、全身の連動、自然体による身体運用など、大東流そのものの理解が必要になってくる。
今回の動きにみられるように、技をかける側は掴まれた腕にほとんど力を入れることなく、全身と一体化させて動かしている。
如何に自分の対抗心を虚しくして「相手の意図に沿うように動けるか」が、結局は自分の意思を完遂できるかということにつながっていく。
其の三百六十九 首投 大東流合気柔術 東京稽古会 
大東流合気柔術、初伝二カ条の形「首投」について述べてみたい。
外見的には腕を押さえて攻撃してくる相手を手刀で斬り崩し、首をつかんで投げ倒してしまうところに特徴がある。

首をつかんで投げる、というと何やら大げさな技のように聞こえるが、それは出口の部分に過ぎず、術としての要諦は初動から相手に崩しをかけるに至る過程にある。
無論、首を支点にして大きな負荷をかける形でもある。
必ず細心の注意を払って習練していただきたい。
受身に習熟していない初心者は必ず指導者の監督下に行われることをお願いする。

話は脇に逸れたが、この操作の成否はこれまで継続して取り上げている「肘の崩し」にかかる。
力を込めて攻撃してきた相手の腕を肘から折り曲げ、その効果として体幹部分、腰を無力化してしまう。

肘は一方向には曲がりやすい関節であることはたびたび言及しているが、やはり害意を持った相手を思うように操作するのは一筋縄ではいかない。
特に肘を「曲げよう」という意思をもって臨むと、肩から先の力で押し込むことになり、これでは相手の身体はビクともしないだろう。

手刀の脱力と全身の連動をもって「ただ相手にぶつからないところに進む」ような感覚で習練していただきたい。
動画の内容が皆さんの習練に役立てば幸いである。
其の三百四十三 すれちがう 大東流合気柔術 東京稽古会 
「護身術」とは弱者の立場から危機を回避する術だ。
力のない人間が強いものの害意を完遂させることなく、自己の持つ力を最大限発揮して生き残る方法論と言えよう。
古武術である大東流合気柔術の思考法をよく体現したものでもある。

今回の動画はそうした方法論の中でも最も単純かつ平易なもの。
「究極の護身術」などと大仰なタイトルを動画に冠したが、あながち誇張でもない。
原理はシンプルである。
相手の攻撃は手、すなわち身体の末端を使って行使される。

如何に強力な腕力を有した相手であるといっても、こちらの体幹の力を十全に伝えることが出来れば、腕力でそれを凌駕することは難しい。

掴みかかってきた相手の攻撃線にぶつからず、離れず、すれちがうように相手に密着するように前に進む。
相手の背後に重心をかけるように踏み込み、倒す。

言葉にすればこれだけのことであり、原理を感知すればさほどの困難を伴わずに実行可能な技術だ。
稽古会での修練はこうした術理を日常の動きに落とし込んで積み重ねている。
【お知らせ】今後の新規会員は月に一名程度の募集とします。入会希望の方はお早めに。
其の三百九 小指で落とす 大東流合気柔術 東京稽古会 
小指というのは単体では非常に弱い。
大東流合気柔術には、その弱い小指を使って、体幹全体を崩していく考え方がある。

もちろん、小指だけを使うわけではなく、効果的に全身を連動させる必要があるのだが、小指の持つ特性が、優れて古武術的な身体運用法に適っているところを実感してほしい。
今回の技法において、肘の急所を攻めることは必須の条件だが、その急所の捉え方にこそ古武術の思考法が要求される。
簡単に言ってしまえば肘関節の裏がその急所なのではあるが、そこを通常のやり方で攻めても、相手の身体は動かない。

そこで、大東流合気柔術では肘の急所を小指を使って操作していく。

小指は、押しこんだり、力を強くかけていくことには向いていない半面、引き込んでいくように使うと、全身の力をよく伝えてくれる。
さらに言えば、小指で操作することで、背中から腕にかけての連動性が強く生じる効果もある。

微妙な力の掛け具合、動かし方については極意につながる部分もあり、ここでは触れない。興味のある方は稽古会に参加したうえで実際に体感してみることをお勧めする。
其の三百四 裏落 大東流合気柔術 東京稽古会 
相手の攻撃をテコとし、無力化して制する。
連綿と続く日本古武術の継承者であり、合気道の源流としても知られる大東流合気柔術の精髄といえる思考法。

今回取り上げる「裏落(うらおとし)」という形は、いろいろな要素を持つが、その中でも崩しにかかわる動きに焦点を当てる。
鍵となるのは「張り」を作って無力化する操作だ。
動画の中にあらわれているのを見て取った諸兄もあるかとも思うが、この「張る」という考え方を成立させるのは、筋力に頼ったパワーではない。
試しに相手との接点を、掴ませている状態から、こちらが掴んでいるように変更して同じ技を行ってみればよくわかる。

体幹部分が動くほどに崩せるのは、技の掛け手の身体が程よく脱力し、受け手の体が硬直していないことが前提となる。
相当程度に体格の差があっても、、相手の体の筋肉がこわばり、いわゆる力の入った状態では、かんたんに崩すことは至難の業だ。

そのために、大東流では相手に掴ませている部分を脱力し、力の入れどころをあいまいにする戦略をとる。
そうすることで、接点と当身によってできた物理的な距離感が「張り」として作用し、無力化することが可能になる。

筋力に頼らず、相手の攻撃を利用することで体幹を崩し、制圧していく。
古武術ではあるがむしろ革新的ともいえる考え方が、今もなお大東流が武術各派の関心を集める理由ではないだろうか?
東京稽古会では、大東流の身体操作法を初心者にもわかりやすく習得できる稽古を行っている。
参加方法はブログ内に設置のメールフォームから問い合わせください。
其の二百九十八 切返 大東流合気柔術 東京稽古会 
大東流合気柔術、一カ条の形である「切返」です。
相手に正面から掴みかかられたときに、体幹の動きによって手を触れることなく崩し、投げ落として制する技術です。

前回取り上げた操作法である「千鳥足」をつかう代表的な技でもあります。
今回は、前回は触れなかった重要なポイントである「脱力」についても取り上げていきます。
動画を見てください。
相手が両腕を押さえつけるように攻撃してきます。
両手の手刀を活かして、喉元に切っ先を向けるように突き込みます。
同時に相手の出足とは逆の方の足を出し、千鳥足を使って腰を切ります。

重要なことは、この時、接点で相手を引っ張ったり、押し込んだりしようとするのではなく、真下に沈むように腰を切ることです。
軸となる方の足(先ほど前に進めた側です)に重心を乗せ、その軸上に真直ぐ沈み込んでください。

言葉で書くと単純なようですが、この「真下に沈む」という動きが慣れないうちはなかなか大変です。
相手の攻撃を受け止めることに精一杯で、そちらに意識を取られてしまうことが多くなりがちです。
また、初級修行者にとっては自分の軸を守って動くことも難易度が高いと思います。

まずは、脱力を心がけてください。
さらに可能ならば、骨盤の上に上半身を垂直に乗せた正しい姿勢を保って修練してみましょう。
胸を張って、強い姿勢を維持できれば、相手は千鳥足の回転に巻き込まれるように崩れてくれます。

東京稽古会では、日々の修練で基本動作を反復して身につけていきます。
お問い合わせはブログ内に設置のメールフォームからどうぞ。
其の二百九十二 曲げて斬る 大東流合気柔術 東京稽古会 
前回につづいて、肘の関節を利用して相手の動きを制していく考え方です。

一方向にしか曲がらない関節である肘を、伸ばしてしまうことで動きを制限したのが前回(「其の二百九十一 肘を斬る」)の方法ですが、今度はその特性を逆に使います。
動画を見てください。
袖を捕ってきた相手の肘に、親指の付け根を当てて腰を切ります。
手刀の「峰」側を使って斬り込む意識で行ってください。
相手の身体が前に泳ぐように崩れたら、手刀をかえして斬り落とすように体勢を低くします。

肘を伸ばす方法と、曲げる方法。
時に応じて二つのやり方を使い分けますが、これは相手との距離感や、身体の状態によって選択します。
この場合は、近接したところで押し込まれているので、すでに相手の肘は曲がっており、それを利用するわけですね。

さて、肘が曲がる方向に力を加えることで、抵抗なく相手を崩していくことが初めの動きの目的ですが、その時に力で押し込むと、相手は身体を固めてしまいます。

腕の力で斬り込もうとせず、当てた手刀を脱力した状態で使うことが重要です。
また、手刀は手首から先だけを意識せずに操作しなければなりませんが、これについては実際に手を取ってやってみた方が理解しやすいでしょう。

今回の動きには、脱力した状態で相手との接点にかかわるという極意が含まれています。
東京稽古会では、こうした古武術の核心技法を分かり易く解説しながら修練しています。
お問い合わせはブログ上部の「メールフォーム」からどうぞ。
其の二百九十一 肘を斬る 大東流合気柔術 東京稽古会 
大東流は、合気柔術と呼ばれる通り、柔術の流れをくむ武術です。
昔から日本では柔(やわら)と呼ばれるように、相手の身体の急所を取り、関節の逆をついて制していく技法の体系といっていいでしょう。

これから数回にわたって取り上げる動きは、その急所・関節のひとつである「肘」を扱う考え方です。
動画を見てください。
相手が二の腕のあたりを押し込むように掴んでくるところを、外に捌き、腕を伸ばします。
手刀を活かして、剣で斬り下ろすように操作すると、相手の腰が崩れ、倒れます。
たったこれだけのことですが、実際に袖を取られて圧力を受けると、力みが入ってしまい、容易に崩すことはできません。

考え方のひとつとして、「身体を伸ばす」という点に注目してください。
肘を斬り落とすという目的にこだわって、力任せに手刀で押し込もうとすると、相手から大きな抵抗を受けます。
肘は逆には曲がらない関節ですから、そこに大きな力を加えられると、受けた方は必死になってそれを防ごうとします。結果、力のぶつかりあいが起き、膠着してしまいます。

まずは、斬り落とすことは先におき、肘を攻めることで相手の肩を動かしていくことを目指してください。
肘を攻める際には、その急所を的確に狙うことも重要です。
肘関節の裏、頬杖をついたときに当たる部分が急所です。腕を伸ばして肘の裏を触ると突起がありますが、その高手側(肩に近い方)を狙います。

ここに手刀を柔らかく当て、操作していきます。
くれぐれも力任せに攻めないこと。相手の身体が固まってしまいます。
柔(やわら)の思考法で、動いて下さい。
其の二百六十七、峰で入る 大東流合気柔術 東京稽古会 
自分の腕から手までを剣に見たてて操作する考え方の続きです。
ここまでは主に、手の小指側を「刃」と考え、その部分をどう相手に向けていくか、あるいはどの方向に動かしていくかなどを見てきました。

今回は、「刃」の部分と対をなす「峰」の使い方を中心に見ていきましょう。
まずは動画から。
これは大東流合気柔術の裾払(すそばらい)という形ですが、攻撃を受けた際にとる初動の中に、今回のメインテーマとなる操作が入ってきます。
受け手側の攻撃は袖捕です。腕の根元を押さえ、剣が抜けないように固定します。
それに対して捕り手は力で対抗するのではなく、相手の攻撃の軸を外すように捌いてください。

相手の外側に身体を持っていきながら、手刀を操作します。
この時に、自分の腕を刀と仮想してください。そして、親指側すなわち「峰」の部分を使って相手の肘を目がけて突き込むように動かしましょう。
この操作の目的は、相手の自由な手(袖をつかんでいない方の)からの攻撃を無力化することだと心得てください。
その方向に剣を動かすことで、相手の身体は崩れます。

この時に気を付けたいのは、峰を意識することと、相手の腕そのものを斬りつけることは異なるということです。
動画を見てもらえばわかりますが、必ずしも「峰」の部分で相手の腕を押してはいません。むしろ、そこに触れずに突き込む方が効果的に崩せる場合の方が多いんですね。
(もちろん、彼我の体勢によって接触させた方がよい場合もあります)

重要なことは手刀の峰側を使うという意識です。このことが相手との接点に作用して体幹部分から崩していくことにつながるんですね。
相手が崩れたら、再び手刀を相手の身体を撫でるように斬り上げて肩をひきつけ、足を払うようにして倒します。
いずれにしても、初動の崩しがうまくかからないと、技にはなりません。

「刃」と、「峰」。刀の構造を自分の身体に当てはめた興味深い考え方です。
東京稽古会では、こうした術技を平易に解説しながら修練しています。
参加お問い合わせは、ブログ内に設置のメールフォームにてどうぞ。
其の二百四十九、伸ばして合わせる 大東流合気柔術東京稽古会 
肘を合わせる操作の更なる応用編です。
大東流合気柔術の基本でもある、「脱力」の考え方が入ってきます。

前回までは肘を曲げての操作でしたが、今回は互いの腕を伸ばすように意識していきます。
では、動画を見てください。
相手が高手部分(二の腕)を押さえてきます。袖捕(そでどり)ですね。
それに力で対抗せずに、外側に捌きながら腕を大きく回し、相手の腕に、自分の腕を密着させます。
この時、自分の肘と相手の肘が一直線上に並んでいることを確認してください。
肘が合わせられていることが確認出来たら、その形を崩さないように自分の腕の角度を変え、相手の身体が自分の身体の真下に来るように操作していきます。

理論上は肘が一直線上にあるわけですから、その角度を変えれば相手の身体も同じように追随してくるはずです。
ですが、その状態を維持することができなくなると、ひっかかりができてしまって力づくで相手の腕をねじ伏せようとしてしまうんですね。

ここで、意識してほしいのが、脱力です。
一連の操作のなかで、自分の腕を柔らかく伸ばしてください。
そうすることによって、相手の肘との密着度が増します。
力を入れてしまうと、この密着が失われます。
つまり、「肘を合わせる」状態ではなくなってなってしまうんですね。

古武術の独特な考え方で、最初は難しいかもしれませんが、継続して稽古していきましょう。